お互いの顔だけでなく
くらしが見える産直運動
農民連「新婦人産直」交流会
新日本婦人の会の会員との産直運動の経験を交流し、新たな展望を切り開く新婦人産直の交流会が6月15、16の両日、京都府亀岡市で行われました。19都府県24組織からのべ61人が参加しました。
地域循環型の核になる運動を
農民連ふるさとネットワーク代表の根本敬さんが主催者あいさつ。2015年の国連総会で採択された、持続可能な開発目標(SDGs)を取り上げ、「SDGsは貧困・飢餓・平和という、運動の軸になりうるもので、産直を通じて進めていければ」とあいさつしました。
農民連本部の吉川利明事務局長が報告。「いま、食のグローバル化が進む中で、地産地消、食糧主権が対抗軸となる。米・野菜産直とともに大豆トラスト、太陽光発電、学校給食の無償化・地場産化などをさらに発展させ、地域循環型の運動の核になる運動にすることに、今後の発展の芽があるのではないでしょうか」と訴えました。
事業と運動ともに発展めざす
組合員ふやしに産直の役割大
新婦人京都府本部の魚山栄子さんは「産直月間に取り組んでおり、すべての班で『ランチ会』を開き、2割引きのお試しボックスを勧めて、ボックス利用者を増やそうと取り組んでいる」と報告。「産直運動を通じて、新婦人が様々な専門家や団体、個人との縁をつくることができた。産直月間を成功させ日本農業を守る力を大きくしたい」と決意を述べました。
京都産直センターの八田聡さんは「京都府の農家戸数が減少する中で、産直センターの組合員が増加しているのは、安定した出荷量と価格が見込め、交流会で直接消費者の声も聞ける新婦人産直の役割が大きいのでは」と話しました。また「約40人の若手生産者が産直に参加している。地域の組合運営に積極的にかかわる若手も出始めている」と産直があることで地域の担い手が育ち始めていることも報告しました。
|
報告に聞き入る参加者 |
多彩なイベントで信頼をきずく
福岡県みのう農民組合の金子徳子さんは多彩な交流について報告。「組合員の9割が果樹農家なので、果物狩りや、ジャムづくりなど交流会を頻繁に行っている。忙しいが、新婦人の会員も農家の大変さなどを理解してくれるようになっている」と述べました。
千葉県多古町旬の味産直センターからは、小林由紀夫さんが後継者を育てるための取り組みとして、「私の100年田んぼ」やニューファーマーズ野菜ボックスを紹介。また多彩な交流イベントを行っていることも紹介し「若い生産者に積極的に参加してもらい、こちらからも新婦人のみなさんの所に出向いています」と述べました。
新婦人神奈川県本部の原さんは米増やし運動について報告しました。「多古町旬の味産直センターの協力で7分精米2合の試食プレゼント米を用意して声かけに。どんどん渡せるので対話が進み、5月だけで20キログラムを増やした支部もある。お米だけでなく、野菜などほかのボックスも増やすことができ5月で40ボックスが増えました」と紹介しました。
討論では、各地からそれぞれの取り組みや配送料での苦労などが話し合われました。
産直の意義総合的に判断を
討論の最後に吉川事務局長は「お互いの顔だけでなく、くらしが見える関係というのが重要。自分たちのやっている野菜ボックスは、世間から見るとすごい取り組み。事業として成り立って、初めて運動として成り立つという指摘も非常に大切ですが、総合的に判断して事業の継続をはかろう」とまとめました。
(新聞「農民」2017.7.3付)
|