「農民」記事データベース20170703-1269-05

東京都築地市場移転問題
小池知事が方針を発表

都議選
“築地再整備”主張の候補に


市場を豊洲に移転
築地は再開発!?

 東京都築地市場(中央区)の豊洲新市場(江東区、東京ガス豊洲工場跡地)への移転問題で、小池百合子都知事は6月20日、市場を豊洲に移転するとともに、築地市場については一度更地にして市場としての機能も残して再開発する基本方針を発表しました。

 基本方針は、(1)築地市場を一度更地にして5年後をめどに再開発し、「食のテーマパーク」機能を有する新たな拠点にする、(2)豊洲市場は冷凍冷蔵・加工機能を強化した総合物流拠点とする、(3)これらを市場業者、都民とオープンな場で検討する―というもの。

 豊洲市場の土壌汚染問題については、土壌汚染の無害化が「未達成である」とし、都の専門家会議が示した「追加対策」を行うとしています。

 また、築地ブランドをさらに高め、仲卸の目利きを生かした市場機能を確保・発展させるとする一方、営業しながら施設を改修する再整備案は困難だとして、豊洲移転後に築地に復帰する業者へは経営支援を検討するとしています。

 今回、小池知事が築地を売却せずに市場としての機能を確保するための方策を見いだしていきたいと述べたことは、築地市場を売却し、豊洲開発の原資にするという都の従来の立場の転換であり、重要です。

 築地の仲卸業者の8割が築地で商売したいと願い、すし屋さん、小売店も「やっぱりお魚は築地から」と声を上げてきました。こうした力が、石原都政以来の築地売却という方針の根幹を覆し、一歩動かしたことは明らかです。

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「築地でええじゃないか」と声を上げる人たち=6月18日、東京・新宿

 二つの重大問題

 しかし、豊洲移転の方針には二つの重大な問題点があります。

 一つは、「食の安全・安心」の問題です。豊洲新市場は、土壌も地下水も環境基準以下にするという無害化を達成できていません。

 二つめは、「築地ブランド」をどう守るのかについてです。それを担っているのは、仲卸の目利きの技であり、豊洲移転では、仲卸業者が激減しかねません。

 知事が、「食の安全・安心」に責任を負い、「築地ブランド」を守るというなら、豊洲移転の方針を再検討し、築地市場の現在地再整備のあり方を市場業者のみなさんと協議すべきです。

 小池知事が提起した方針の具体化はこれからであり、この問題を決めるのは都議会です。7月2日投票の都議選がいよいよ大切になっています。

 約6000億円もの整備費をかけ、汚染の無害化にも失敗した豊洲移転を推進した自民党、公明党の責任は重大です。自公はこのことに何の反省もなく、2010年の都議会付帯決議で自ら行った「無害化」の約束もほごにして、豊洲移転を推進しています。都議選で自公に厳しい審判を下す必要があります。

 都議選では、豊洲移転に反対し、築地市場の現在地再整備を主張する政党、候補者を選ぶことが求められています。

(新聞「農民」2017.7.3付)
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2017年7月

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