「農民」記事データベース20170626-1268-03

「共謀罪」法の強行成立に抗議し、
廃止を要求する

2017年6月15日
農民運動全国連合会会長 笹渡義夫


 一、自民党、公明党、日本維新の会は6月15日早朝、参院法務委員会での議決を飛ばし、法務委員長の「中間報告」という異常な禁じ手まで使って、共謀罪である「テロ等準備罪」法案を参議院本会議で強行採決した。

 この暴挙は、法案の矛盾があらわとなり、加計学園疑惑の広がり、国民の怒りの高まりに追い詰められた結果にほかならないが、民主主義を蹂躙(じゅうりん)するクーデターに等しいと言わなければならない。農民連は暴挙に満身の怒りを込めて抗議する。

 一、「共謀罪」法は、犯罪を実行したものを罰するという刑法の大原則を崩し、思想・良心の自由を定めた憲法19条に反する違憲立法である。

 政府は、「組織的犯罪集団が対象で、一般人は関係ない」との答弁を覆し、一般人や、その周辺も対象になりうることを認めた。

 また、「組織的犯罪集団」や「準備行為」の定義が定まらず、捜査当局の恣意(しい)で国民の権利が侵害される危険が明らかになっている。

 法案に対して国連のプライバシー権に関する特別報告者が「プライバシーの権利や表現の自由を制約する恐れがある」と懸念を表明するなど、国際的にも批判を浴びる異常なものである。

 一、「共謀罪」法のねらいは、秘密保護法、安保法制(戦争法)に続く、「海外で戦争する国づくり」のための道具立てである。原発再稼働や沖縄の米軍新基地建設、TPPなど、安倍暴走政治に反対するたたかいを弾圧し、「もの言う市民」を委縮させる「現在版治安維持法」である。

 一、「共謀罪」法は強行成立されたが、違憲立法は廃止しなければならない。たたかいはこれからである。

 農民連は、農業と食料、農民の暮らしと営農を守る運動をさらに発展させるとともに、「共謀罪」法を廃止するために全力をあげるものである。

 同時に、目前の東京都議選で自公と維新に審判を下すとともに、きたる総選挙で野党と市民の共闘を必ず成功させて、自民党、公明党とその補完勢力を少数に追い込むために力の限りたたかうものである。

(新聞「農民」2017.6.26付)
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2017年6月

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