「農民」記事データベース20170612-1266-13

都市農業の振興のために
きわめて重要な都議選

東京農民連事務局長 武藤昭夫


 東京都議会議員選挙が6月23日告示、7月2日投票で行われます。自民・公明の歴代知事与党のもとで進められた大規模開発、築地市場の豊洲移転、くらし・福祉切り捨てを許さず、都民生活最優先、都市農業振興のためにも、都議選はきわめて重要な選挙です。

 宅地並みの課税反対の大運動

 東京の農民は1973年の都市計画法の大改悪による「農地の宅地並み課税」に対する全国的な大反対運動に合流し、長いたたかいによって生産緑地制度や相続納税猶予制度を創設させ都市農業を守ってきました。

 しかし、30年間の営農条件など様々な理由から生産緑地指定を受けられない「宅地化農地」は減少が続きました。

 一方、都内には80万戸以上の空き家があり、これ以上農地をつぶし宅地化することへの懸念の声も高まりました。

 こうした中、2015年、都市農業・農地のあり方について、農水省、国土交通省が相次いで「審議会」を立ち上げ、これまでの都市農地の「宅地化」方針から、都市農業・農地は「あるべきもの」へと方向転換をおこないました。

 農業振興プランの見直しを受け

 東京農民連は、国の審議会が開かれるたびに傍聴し、農地を残せるよう応援をしてきました。二つの省の中間まとめを受け政府は、17年4月に、「都市農業振興基本法」を制定しました。

 この法律は基本理念として、(1)都市農業の多様な機能の適切かつ十分な発揮と都市農地の有効な活用及び適正な保全を図る、(2)良好な市街地形成における農との共存に資するよう都市農業の振興を図る、(3)国民の理解の下に施策の推進を図ることを目的に、この法律が達成されるために、政府に対し、必要な法制上、財政上、税制上、金融上の措置を講じるよう求めています。また、総合的・計画的に施策が推進されるよう、都市農業振興基本計画の策定が、各自治体に義務付けられました。

 東京都は、この基本計画に基づき都農林・漁業振興対策審議会の答申を受け17年5月1日から振興プラン案のパブリックコメントを募集しました。

 農民連の要望も入るプラン評価

 東京農民連は、このプランが、都市農業振興基本法、都の農林・漁業振興対策審議会の答申が踏襲されものであり、農民連からの要望も取り入れられていることから概ね評価しました。

 しかし、政府が進めるTPPやアメリカとのFTAなどのさらなる農業つぶしや、農協攻撃などの不安材料が残ったままでは絵にかいたモチになりかねません。

 今度の都議選は、これまでの運動で勝ち取ってきた成果を生かした「東京農業振興プラン」を実行させていくために、「都市と農地の共生」を実現させる、都市計画の中に都市農業の振興をしっかりと位置付ける都議を多数にするための重要な選挙です。

(新聞「農民」2017.6.12付)
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2017年6月

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