「農民」記事データベース20170605-1265-02

「共謀罪」法案の衆院強行採決に
抗議し、廃案を要求する

2017年5月24日
農民運動全国連合会事務局長 吉川利明


 一、自民党、公明党、日本維新の会は5月23日、共謀罪である「テロ等準備罪」法案を衆院本会議で強行採決した。農民連はこの暴挙に断固抗議するとともに、憲法違反の「共謀罪」法案を、4たび廃案に追い込むために全力をあげる。

 一、共謀罪の国会審議で、金田法務大臣はあいまいな答弁を繰り返すなど、国民の不信は広がっている。共同通信社の調査で、国民の77・2%が「政府の説明が十分だとは思わない」、「今国会で成立させる必要はない」は56・1%である。審議を尽くさず、こうした国民世論を無視した強行採決は断じて認められない。

 一、「共謀罪」法案は、犯罪を実行したものを罰するという刑法の大原則を崩し、共謀(話し合い・合意)しただけでも処罰できる現代版「治安維持法」である。

 法案に対して国連のプライバシー権に関する特別報告者が「プライバシーの権利や表現の自由を制約する恐れがある」と懸念を表明するなど、国際的にも批判を浴びる異常な法案であることが明らかになった。

 一、政府は国会審議で、テロ対策のために国際組織犯罪防止条約を締結するために共謀罪が必要だと説明してきたが、同条約が「テロ対策」が目的でないこと、締結に共謀罪は必要ないことは明白である。

 「組織的犯罪集団が対象で、一般人は関係ない」との答弁についても、277の対象犯罪のすべてが「テロ等準備罪」の対象となり、警察が「犯罪集団」と断定すれば、テロとは無縁の団体や市民も監視や尾行の対象とされる。277の対象犯罪には、種苗法による育成者権の侵害や税金闘争と密接にかかわる所得税法なども含まれている。

 一、共謀罪の本質は、原発再稼働反対や戦争法廃止、沖縄の米軍新基地建設反対、TPP反対など、安倍政権の暴走政治に反対するたたかいを弾圧し、「物言う市民」を委縮させる「現在版治安維持法」である。

 農民連は、農民や広範な国民諸階層と力を合わせ、農業と食料、地域社会を守る運動に全力をあげるとともに、希代の違憲立法である共謀罪法案に断固として反対し、参議院での廃案めざしてたたかいぬく決意である。

(新聞「農民」2017.6.5付)
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2017年6月

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