“共謀罪のある日常”を想像して
「共謀罪」の先取り事件
「大垣警察市民監視事件」
当事者・船田 伸子さん
(岐阜・西濃農民組合会員)
関連/日比谷野音で大集会
盗聴・監視・密告の社会
私たちは生きづらくなる
私は現在、岐阜県大垣市で夫や息子、義母と農業を営み、米を主に野菜をつくっています。
危険人物のように
今、安倍政権がもくろむ「共謀罪」の先取り事件として注目されている「大垣警察市民監視事件」の当事者であり、国家賠償請求訴訟の原告4人のうちの1人です。
事件は、大垣市上石津町と不破郡関ケ原町に巨大風力発電施設を建設する計画に絡み、大垣警察が建設事業者である中部電力子会社に、建設に反対する住民2人、無関係の活動家と、当時、法律事務所職員であった私の個人情報を提供していたことが子会社の議事録として残っており、新聞社がスクープして明らかになったものです。
私についての記録は「M(原告の一人)は、岐阜コラボ法律事務所の事務局長・船田伸子と強くつながっている。そこから全国に広がってゆくことを懸念している」、「船田は現在気を病んで入院中であり、即、次の行動に移りにくい」、「今後、過激なメンバーが応援に入ることが考えられる」などでした。
私は、入院もしていませんでしたし、過激なことをしたわけでもありません。警察が全く関わりのない私をまるで犯罪者か危険人物のように見ていることに驚きました。
「もの言う市民」敵視
今、共謀罪が国会で審議されていますが、誰もが普通に生活を営んでいれば様々なトラブルに巻き込まれることがあるでしょう。例えば農業を営んでいれば、問題になっている「種子法廃止」で種の高騰が起きるなどの死活問題があったとき、声を上げ、仲間に呼びかけるのは当然のことです。それが反社会的行為として監視の対象になり、犯罪として立件される。
しかも立件するには事前に情報を得るために「盗聴・監視カメラ・密告の奨励」が捜査手法になります。これが日常的にあるとすれば、さい疑心に満ちた、生きづらい社会になるでしょう。私自身、共謀罪を知るにつれ、ますます怖さを感じるようになりました。時々監視されているのでは、あるいは一緒にいる人を一瞬疑ってしまう自分に気づき、心が冷えるような気がするときがあります。
私は、警察がすでに着々と「もの言う市民」の個人情報を収集している現実を知ってほしいと思います。
憲法守り阻止しよう
秘密保護法・安保関連法・集団的自衛権の行使で、「戦争する国」づくりが進んでいます。共謀罪は戦争する国への最後の一手です。言論・表現の自由が奪われ、その先にある社会、「共謀罪のある日常」を想像してみてください。
私は、改憲を公言する安倍政権に対し、基本的人権の尊重を定めた現憲法を使って裁判をたたかうことで、憲法を守りたいと考えています。一緒に「共謀罪」を阻止しましょう。
日比谷野音で大集会
「憲法違反の共謀罪はいらない!」「テロ対策とうそつくな!」の怒りの声が東京・日比谷野外音楽堂に響きました。
共謀罪NO!実行委員会と総がかり行動実行委員会の共催で行われた5月16日の「共謀罪廃案・安倍政権の改憲暴走を止めよう!」大集会には、4200人の市民が集まりました。
4野党1会派の国会議員50人近くも壇上に上がり、民進党の枝野幸男衆院議員、自由党の山本太郎参院議員、共産党の山下芳生参院議員、社民党の吉川元衆院議員、沖縄の風の糸数慶子参院議員があいさつしました。
(新聞「農民」2017.5.29付)
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