「農民」記事データベース20170529-1264-01

農民連会員の宮下村長が誕生

農業が輝く村づくりを

長野・中川村

 長野県中川村(人口約5000人)に農民連会員の村長が誕生しました。中川農民組合の宮下健彦さん(62)です。中川村は、宮下新村長のもとで、元気で活気あふれる村づくりに向けて新たなスタートをきりました。


自立した村の火を消さないで
農業守り地域の活性化を

 新村長誕生の原動力は広範な団体の結びつき

画像  「村を発展させ、地域をどうよくするか。考え・立場の違いを超えて、さまざまな団体・個人が幅広く手をつないで、その課題に取り組んできた。その積み重ねが、宮下村長を誕生させる原動力になりました」。中川農民組合の市瀬拓朗組合長(76)はこう評価します。

 中川村は、2005年から3期務めた曽我逸郎前村長のもとで、平和憲法を生かし、暮らし・福祉最優先の自立した村づくりを進めてきました。

 とくに村のくらしや農業・産業を脅かすTPPに対しては、村を挙げて大反対運動を展開。曽我村長が代表を務めた「TPP参加反対実行委員会」には、中川農民組合をはじめ、農協、村議会、農業委員会、商工会、建設業協会、新日本婦人の会、村と農協の職員組合など広範な団体が結集しました。

 11年2月には、全村を挙げた「TPP参加反対集会とデモ行進」が実施され、村の人口の約1割にあたる400人以上が参加し、曽我村長を先頭に村内を行進しました。

 その後も、TPP反対の運動を進めながら、農業の振興、村の活性化の課題に取り組むなかで、中川農民組合が大きな役割を果たし、影響力を発揮してきたのです。

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中央アルプスを望む

 中川農民組合会員の宮下さんに白羽の矢

 昨年、曽我村長が勇退を表明。次期村長を誰にするかで、白羽の矢が立ったのが、中川農民組合事務局長だった宮下さんです。宮下さんは36年間、村役場で働き、保健福祉課長、総務課長などを歴任してきました。

 14年に役場を退職し、農業に本格的に取り組み、ぶどうや市田柿の果樹栽培を営んでいました。県農民連執行委員も務め、今年の農民連第22回定期大会には代議員として参加しました。

 行政経験豊富で周りからの信頼も厚い宮下さんに対して、正式に村長選への立候補の要請がありました。宮下さんは、「自立した村づくりの火を消してはいけない」と立候補を決意しました。

 保守系候補との一騎打ちとなった村長選で、宮下さんは、「都市もうらやむ農村をつくろう」と訴えてきました。

 中川農民組合も「農業の現状を理解し、農家の気持ちもわかる仲間である宮下さんを推薦し、必勝を期すため全力で闘う」とする特別決議をあげて、支援しました。

 選挙は4月23日に投開票され、「皆さんは共産党の村長を望んでいますか? 良識ある村民の判断をお願いします」などの相手候補の攻撃を跳ね返し、得票率56・5%で勝利しました。

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中川村飯沼の棚田。特別純米酒「今錦・おたまじゃくし」の原料となる酒米「美山錦」を植えます

 農業振興にともに手を携えて

 5月15日に初登庁。就任あいさつで、宮下村長は「村民の皆さんと力を合わせ、この村に住んでよかったと思えるような村にしていきます」と力強く訴えました。

 市瀬組合長は、「農業を村の基幹産業と位置づける宮下村長を支え、村づくりを進めていきたい。そのためにも農家戸数の3・5%を占める農民組合の仲間をさらに増やし、組織を大きくしていきたい」と決意しています。

 県農民連の竹上一彦会長は、「農業を守る施策の充実を国に要請し、農業のさらなる振興を提言するなど、農業が輝く村づくりを進める宮下村政を支え、応援していきます」と期待を寄せています。


村の農業の振興に全力

宮下健彦村長が決意

 任期中の4年間で、まず実現したいことは、村の基幹産業である農業を振興することです。生産、加工、販売という仕組みをつくり、6次産業化を進めるなかで、新たな雇用も生みだしたいと考えています。

 また、新規就農者が農業研修後にスムーズに農業生産に入れる仕組みも作りたいと思います。

 村の農業が元気になることで、商工業にも刺激となり、村の経済全体が活発になっていくものと考えています。

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初登庁を翌日に控えた宮下村長(中央)と竹上・長野県連会長(左)、市瀬組合長。ビニール傘をかけたレインカット栽培のブドウ棚の前で=5月14日

 1月の農民連定期大会に参加しましたが、とくに若い人たちの発言を聞いて、若者が全国で仲間を増やしながらがんばっていることに勢いを感じ、励まされました。

 全国の若者が、「中川村で働き、暮らしたい」とあこがれ、また、リタイアした方が、「次の人生を中川村でがんばってみたい」と思えるような村の魅力を発信し続ける工夫が必要です。

 以上のような施策を実施するために、村民の皆さんと力を合わせ、この村に住んでよかったと思えるような村にしていきます。

(新聞「農民」2017.5.29付)
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2017年5月

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