「農民」記事データベース20170501-1261-01

熊本地震から1年

復興への努力続く被災地

熊本県農民連会長 笹渕賢吾

関連/休刊のお知らせ


再建資金の負担重く
もっと国の支援を

 熊本地震から1年が経過し、阿蘇から八代にかけての広範囲の被害は、農業、観光と幅広く生業に影響を与えてきました。被災地と被災者は、復興に向けて努力の毎日が続いています。熊本県農民連は、今年は月に1回被災地に農産物を届けています。

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支援活動を行う熊本県農民連など=4月14日、益城町

 全国の農民連の支援を受けて4月14日に、益城町の5カ所に農産物を届け、被災者からたいへん喜ばれました。私たちが支援に行くと、これまでの被害状況や現状について話をする人が増えています。

継続した支援活動で
被災者と話も弾んで

 何回も届けるうちに打ち解けて話が弾みます。被災者の孤独死が発生し、仮設住宅の住民は、「特に男性が家の中から外に出ようとしない。隣近所の交流が大切だ」と話しています。

 住宅の全壊で仮設住宅に入居し、これからどうするのか、めどが立たない人が大勢います。新築や改修を建設業者に依頼しても業者も多忙で人も足りず、進まない状況です。資材や人件費の値上げで負担が重くのしかかり、国の支援がもっと必要です。支援なくして復旧、復興はありえません。

 昨年の地震直後の4月17日に支援に入ったとき、益城町の40代の専業農家が町から「庭のある人は避難所に入れない。庭を使って宿泊を」と言われ、庭に立っていた育苗ハウスの中で寝泊まりをしていました。今回、その家に行くと、住居も納屋も全壊のために更地になっていました。

用水路修復できず減反も
農家は仮設から畑に通勤

 こんな状態の農家が多く、仮設住宅に入った農家から、「昨年は用水路が絶たれて米をつくれず、今年もまだ修復できない水田も多く、減反するしかない」という声が聞こえてきます。

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干上がったままの水源地。地震前は毎分10トンの水がわき、田んぼを潤していました(南阿蘇村)

 農家は、仮設住宅から畑に出かけて家庭菜園の野菜づくりをしています。被災者は、地震前の状態に早く戻りたい気持ちが強いのですが、全壊で300万円の支援金ではとうてい足りず、再建資金の負担も重くのしかかっています。

 支援活動継続し交流を大切に

 これからも被災地支援活動は継続し、5月からは熊本の農協労連と一緒に仮設住宅で炊き出しを行い、被災地で交流したいと考えています。これまで、ご支援いただいた全国のみなさんにお礼を申し上げるとともに、引き続き、物心両面での支援をよろしくお願いします。


 休刊のお知らせ

  次週の5月8日付は休刊にします。

        新聞「農民」編集部

(新聞「農民」2017.5.1付)
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2017年5月

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