「これからの農業のあり方を考える」
北海道農民連北見地区協議会が
学習会・講演会
大規模がいいとは限らない
3月30日に、北海道道東の訓子府(くんねっぷ)町で「これからのオホーツク農業のあり方を考える」と銘打った学習・講演会が開催されました。主催は北海道農民連北見地区協議会。講師は弘前大学名誉教授の神田健策先生と、マイペース酪農を厚岸(あっけし)町で実践している石沢元勝さんとその妻、由紀子さん。
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講演する神田名誉教授 |
神田先生は1978年から6年ほど北見工業大学で講師をされていたこともあり、当時から親交の深かった現訓子府町長の菊池一春さんや農家の方々も多数参加して会場は大いににぎわいました。
神田先生の講演では、北見での講師時代に育まれた近隣農家との交流を、当時の写真とともに振り返りながら、これからの農業のあり方について話されました。経営規模が大きければ良いのかという問いかけに始まり、政府による「農業・農協改革」についての説明では、「総合農協といわれる日本の農協組織が解体されれば、財界にとってうま味の多い信用・共済部門が多国籍企業に支配されるのは必至。一部の大規模企業経営農家が利益をさらい、小規模・家族農家の経営は破たんしてしまう」と述べました。
石沢元勝さんは、自身が25年以上実践しているマイペース酪農について話されました。就農後しばらくは規模拡大一辺倒だったという石沢さん。あるとき、風土や自然の営みに寄り添った酪農、いわゆるマイペース酪農を実践していた農家と出会い一念発起、路線変更に踏み切ったとのこと。牛と草地に負担をかけない低投入型の酪農は、売り上げは少ないが出費もかなり減るので、最終的な所得は大規模多頭飼育に負けないことをデータを使って説明しました。
妻の由紀子さんは、「マイペース酪農に転換してから仕事にゆとりができたため、家族だんらんの時間が多くなり、牛も以前より緊張しなくなった」と述べました。最後には、マイペース酪農実践農家では当たり前になっている夫婦同伴での、毎月開催している酪農交流会を引き合いに、女性を蚊帳の外にしない営農を強く訴えました。
学習会後に、置戸町に住む38歳の青年が、農民組合の仲間に加わりました。
今後も自分たちの地域をどうしていくか、どうしたいのか、地域に暮らす人たちとさまざまな意見を出し合って、議論を深めていく良いきっかけとなりました。
(北海道・小清水農民組合 和田徹)
(新聞「農民」2017.4.17付)
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