「農民」記事データベース20170417-1259-03

共謀罪(テロ等準備罪)法案の
審議入りに抗議し、
廃案を要求する

2017年4月6日
農民運動全国連合会事務局長 吉川利明


 一、安倍政権と自民党、公明党は4月6日、共謀罪である「テロ等準備罪」の審議入りを強行した。審議入りには維新の党も賛成した。

 共謀罪は、国民の反対で過去3度、廃案となったもので、犯罪を計画・準備した段階で処罰可能にする戦前の「治安維持法」の現代版である。そのねらいは、テロとは無縁の団体や市民の取り締まりを目的とするものである。農民連は、審議入りに断固抗議し、廃案を要求する。

 一、そもそも共謀罪は、「合意」「内心」を取り締まりの対象にしており、政府が警察を使って国民の日常を常に監視することになる。また、密告すれば刑を減刑・免除するとしており、密告奨励社会となる。

 安倍首相は、東京オリンピックに向けたテロ対策や、国連の国際組織犯罪防止条約を締結するためにも「テロ等準備罪(共謀罪)」創設が必要としている。

 しかし、共謀罪を創設しなくとも条約締結ができることはすでに明らかになっている。また、当初の条文に「テロ」の文言が入っておらず、慌ててつけ足すなど、「テロ対策」が口実にすぎないことは明確である。

 政府は共謀罪の対象となる犯罪を676から277に絞り、「組織的犯罪集団」や「準備行為」という要件を加えたから「共謀罪とは異なる」と説明している。しかし、対象犯罪を減らしても共謀罪の本質は何ら変わらない。「組織的犯罪集団」や「準備行為」にあたるかどうかは捜査機関の恣意的判断に委ねられている。ひとたび内心を処罰する法律を作れば、委縮効果をうみ、自由な社会が押しつぶされることは明らかである。

 一、戦前、戦中の日本は、治安維持法で国民の思想や内心が取り締まられ、表現の自由が奪われてきた。こうした暗黒の「もの言えぬ社会」が戦争への道をたどったことの反省から、日本国憲法がつくられた。憲法を否定する共謀罪の創設は断じて許されるものではない。

 いま沖縄の米軍基地新設や原発問題など、多くの国民が切実な要求を掲げて立ち上がっている。安倍農政を批判し、農業と地域、農協解体に反対する運動も広がっている。

 こうした国民や住民、農民を監視し、規制をかけていく社会を絶対に許してはならない。

 農民連は、広範な農民や国民諸階層と力を合わせ、農業と食料、地域社会を守る運動に全力をあげるとともに、稀代の違憲立法である共謀罪(テロ等準備罪)法案に断固として反対し、4たび廃案に追い込むために全力をあげる決意である。

(新聞「農民」2017.4.17付)
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2017年4月

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