若者が元気に農業に励めるよう
農民連と力合わせて歩みたい
農業を再生し地域を元気に
小規模経営の役割も評価
千葉 大規模農家
染谷 茂さん(67)
千葉県柏市の大規模農家、染谷茂さん(67)がこの春、千葉県農民連の仲間に加わりました。以前加入していたため、再加入となります。
自分の生き方で農業を再び選択
染谷さんは高校を卒業して農家の長男として1968年に就農。3年後にはいったん農業を離れ、送迎バスの運転手を経験しますが、「人生は一度っきり。自分の生き方として農業を」と74年に再就農しました。
利根川沿いの肥よくな田んぼで営農を展開。借地や受託作業を中心に年々規模拡大を図り、今では水稲約80ヘクタールに加え、作業受託としての水稲76ヘクタールを手がけ、そのほか小麦、大豆、バレイショ等の栽培を行っています。夫婦と長女、次男のほか、9人を雇っての農作業です。
染谷さんが経営する「柏染谷農場」では、米中心で作物の生育状況や作業状況を消費者に会報やインターネットを使って報告し、田んぼに足を運んでもらうなど農業の現状を知ってもらうことに力を入れています。
ゴルフ場の建設予定地のまま30年間荒れ放題だった土地を農地に復元した「柏みらい農場」では、水稲のほか大豆、小麦などを栽培し、有機・低農薬栽培で安心して食べられる農産物の生産をめざしています。
さらに、輸入農産物から農業を守り、消費者に安全・安心の農産物を届けようと2004年に直売所「かしわで」を設立。昨年6月には農家レストラン「さんち家」もオープンしました。
『日経ビジネス』『農業経営者』などにもたびたび取り上げられ、規模拡大と地域農業の活性化にまい進してきた染谷さん。その過程で一時農民連の活動から離れていましたが、なぜ再び農民連に?
東電に賠償請求 本格的に動く
転機の一つは、11年の東日本大震災と福島原発事故。「かしわで」の売り上げは3分の2に落ち込みました。「もうけのためでなく地域の農業を何とかしようと立ち上げた直売所が放射能で立ち行かなくなり、農家のこだわりが否定されるのは許せない」と東電への損害賠償請求に本格的に取り組みました。
知り合いの農民連会員から紹介されて、12年に千葉県農民連を訪れました。そこから農民連とともに綿密な打ち合わせと賠償請求書の提出、東電との交渉を繰り返し、生産者損害分と、直売所の農家委託販売分の賠償を勝ち取るなどの成果をあげました。
自給率引き上げ農業の維持を
染谷さんの最大の関心は、「日本の農業を再建し、地域を元気にする」ことです。「規模拡大したからいいというものではない。小規模でも個人の努力で懸命にやっている農家もいる」と小規模・家族経営を地域農業の担い手として評価します。
染谷さんの兼ねてからの持論は、「食料を外国に頼るのはまちがい。自給率を上げ、農業を維持していかなければ日本から農業がなくなってしまう」。今後は「若い人が元気に農業に励む方向を農民連とともにつくりたい」と期待を寄せています。
農民連から情報を受け
税金対策もバッチリ
新潟 キノコ農家
青木 博文さん(40)
新潟県農民連は春の大運動で多くの仲間を迎え入れました。加茂市の米・キノコ農家の青木博文さん(40)もその一人。青木さんに思いを聞きました。
(聞き手・新潟県農民連会長 鶴巻純一)
◇
私の出身は農家でありませんが、9年前から友人の農家で働きながら少しずつ農業を覚えてきました。別の農家が3年前から体調を崩して農作業ができなくなったために、その水田3ヘクタールと農業機械を全部借りて米生産をしています。
現在の経営は稲作とシイタケ1万2000床。菌床でキノコ類はほかにキクラゲやナメコも栽培しています。
農民連に加入したのは、農産物直売所「いきいき畑」(新潟県三条市)にシイタケを出荷するなかで、生産者や農民連会員との出会いから色々な情報や指導も受けられるし、税金の記帳簿を見て、記帳さえしっかりしていけば決算もまとめられることが良いと思ったからです。
新聞「農民」にも期待
新聞「農民」を通じて全国の活動情報がわかることにも期待しています。
(新聞「農民」2017.4.10付)
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