「農民」記事データベース20170403-1257-06

脱税犯取り締まる国犯法組み込む

国税通則法の「改定」案
税務行政の大転換だ


全商連が緊急学習会

 今国会で狙われている国税通則法の「改正」案。一般の税務調査を行う国税通則法の中に、脱税犯を取り締まる国税犯則取締法(国犯法)を組み込み、共謀罪に相当する扇動罪も設けようとしています。この問題について全国商工団体連合会(全商連)は3月17日、緊急の院内集会を開きました。

 冒頭に全商連の太田義朗会長が主催者あいさつ。「日本の税務行政を大転換させる法案が出てきた。仲間を増やしてそれらを押しとどめる力をつけていこう」と訴えました。

 3人の講師が講演をしました。税理士で立正大学客員教授の浦野広明さんは「国税通則法改定の論点」のタイトルで講演し、「法律は行政を縛るのが前提だが、支配の道具として納税者を縛る改定になっている。治安立法の側面が強くなっている」と指摘しました。

 元静岡大学教授の湖東京至さんは、各国の犯則調査の法規定と納税者の権利保護規定を解説し、「一般調査と覆面調査の平行調査ができるアメリカの制度をモデルにしたのではないか。査察と一般調査の壁を取り払うのが改定の目的。各国にはある納税者の権利保護規定が日本にはなく、私でも調査が怖いと思える」と話しました。

 弁護士の鶴見祐策さんは国犯法の歴史的経過を説明。「明治憲法下で制定され、国民の運動で規制をかけても巧みに回避する悪知恵を国税当局が働かせてきた」と話しました。また、扇動罪については、明治時代に国会すら経ない太政官布告で初めて登場したこと、治安維持法などにも含まれていたことなど示し、「言論弾圧に役立つ道具として使われてきた」と指摘しました。

 会場からは、実際に違法な税務調査にあった民商会員などから報告があり、行動提起として学習会や宣伝などで問題の危険性を広げるとともに、納税者の権利憲章の制定を目指して悪政を正す運動に全力をあげることが呼びかけられました。

(新聞「農民」2017.4.3付)
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2017年4月

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