「農民」記事データベース20170227-1252-08

“ものをつくってこそ農民”合言葉に
みんなで支え合い

収穫する楽しみと
お客さんの“おいしい”一言
やりがいにつながる

須賀川農民連インショップ
福島


年間売り上げ1億円達成!
安全・安心が信頼の回復に

 仲間をふやしてさらに伸ばそう

 福島県の須賀川農民連は2月2日、須賀川市内でインショップ生産者会総会と1億円達成祝賀会を開きました。近隣のスーパー店舗内に農民連が出荷する農産物のコーナーを設け、販売するインンショップ。年間売り上げ1億円を達成した須賀川農民連の生産者のみなさんは、元気にものづくりに励んでいます。

 総会では、須賀川産直センターの松川正夫代表理事が「2003年から始まったインショップの取り組みは、1億円の目標を掲げてみんなでがんばってきました。日頃の努力で達成できたのは大変喜ばしいことです。さらに上をめざして、仲間を増やしながら売り上げを伸ばしましょう」とあいさつしました。

 生産者会役員や参加した生産者のみなさんで、活発な討論を行い、次期役員を選出して新たなスタートを切りました。

 原発事故のあと信頼を回復して

 引き続き開かれた祝賀会では、参加者が料理を囲み、1年間の労をねぎらいながら交流。来賓あいさつでは、出荷店舗の代表から、1億円達成へのお祝いと須賀川農民連への期待と激励の言葉が寄せられました。

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盛大に行われた祝賀会

 リオンドール須賀川東店の赤沼亘店長は、「近隣市町村からも買い物客が訪れています。それはここにしかない野菜があるからです。今年は、去年つくっていなかった農作物にもチャレンジしてください。農民連の野菜を多くの人に食べてもらうよう精いっぱい協力します」と述べました。

 いちい須賀川東店の泉裕司店長からは、「原発事故で一時は70%にまで落ち込みましたが、それ以降、放射能測定に取り組むなどして売り上げを伸ばし、1億円を達成したのは、お客さんの信頼が回復していることを意味します。安全・安心な野菜を提供し、若い世代を農業に迎え入れるためにもがんばってほしい」とエールが送られました。

 須賀川農民連の丹治実会長は、「『ものをつくってこそ農民』を合言葉にみんなで支え合ってここまできました。引き続き、生産に励む農家を激励しながら、仲間も増やしていきたい」と展望しています。

 幅広い年代の元気な生産者ら

 須賀川農民連のインショップを支えているのは、幅広い年代の元気な生産者たちです。

 矢吹町からシイタケなどキノコを出荷する佐久間利広さん(63)は、52歳のときに長年勤めていた郵便局を退職し、就農しました。「初めはゆっくりやろうと思って始めましたが、温度・湿度管理に追われるなど時間とのたたかいです。震災時は半値ぐらいにまで下落しましたが、徐々に回復しています。それでも岩手産などよりはまだ安い状態です」と苦労を語ります。

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佐久間さん(きのこを植菌したハウスで)

 その一方で、「収穫する楽しみと、お客さんからの『おいしい』の一言がうれしいし、やりがいにつながります」と笑顔に。佐久間さんのように勤めを退職して就農する人たちも多く、インショップを支えています。

 須賀川市でリンゴ、ナシなど果樹を出荷する安藤優太さん(31)は期待の若手です。埼玉で会社勤めをしていましたが20代後半で帰郷し、両親を手伝う形で就農しました。周りに青年が少ないのが悩みですが、「出荷先のスーパーで桃を手渡ししたり、リピーターのお客さんと会話したりするのが楽しい。果樹は病気とのたたかいですが、地域の人たちとつながりながら、栽培方法などを交流できるのもいいですね。今後は温暖化にも対応する形でかんきつ類にも挑戦したい」と農業を楽しんでいます。

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安藤さん(収獲したリンゴを前に)

(新聞「農民」2017.2.27付)
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2017年2月

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