「農民」記事データベース20170227-1252-04

千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合
全国沿岸漁民連絡協議会(準)

2017年新春のつどい


沿岸漁業守る制度の確立を!
1万人の全国組織をつくろう

 全国沿岸漁民連絡協議会(全国漁民連)準備会と千葉県沿岸小型漁船漁業協同組合が合同で、第2回「新春のつどい」を、2月4日に千葉県鴨川市で開催し、北海道から南は長崎県まで約80人の漁業者が集いました。

 同協議会事務局長で、茨城大学客員研究員の二平章さんが、開会あいさつをかねて開催までの活動を報告しました。

 二平さんは、この1年半で北は北海道、南は長崎まで2000人を超える漁民が加入するまでに協議会が前進していることや、昨年は水産庁や政党への要請行動にも取り組んできたことを報告。「いま全国の漁業経営体のうち、じつに94パーセントを沿岸漁業・家族経営漁業の経営体が占め、まさに沿岸漁業こそが日本漁業の主役だ。日本の沿岸漁業を守るため、一日も早く1万人の全国組織をつくりあげよう」と呼びかけました。

 各地から

 水産庁資源管理部漁業調整官の和田憲明氏の講演につづいて、各地の現状が報告されました。

 ▼世界的に資源の枯渇が懸念されているクロマグロを漁獲規制以上に取ったとして、昨年12月に水産庁から県や漁協に行政指導が行われた長崎県対馬のマグロ漁師、梅野萬寿夫さん

 対馬では今年に入って、完全にクロマグロ漁がストップされた。目の前の海にはマグロがたくさん泳いでいるのに取ることができず、このままでは漁師はメシを食っていけない。報道では漁師が悪者扱いばかりされているが、クロマグロを釣って生活している私たち漁民がどれほど困っているかは全く報道されない。漁獲規制を決める際にも、海の中を良く知る漁民を交えて話し合いをしてほしい。漁師は漁獲制限そのものに反対なのではない。取るなというなら、その分の生活保障をしてほしいのだ。

 ▼和歌山県のカツオ漁師、杉本武雄さん

 カツオ漁を主体にやってきたが、漁獲量が減ってここ10年ほどはカツオ漁だけでは生活できなくなってきている。資源回復には、やはり巻き網漁の漁獲制限が必要だと思う。小規模沿岸漁民は昔から同じように釣り漁法で漁をしているだけだが、大手水産会社などの大型船は巻き網でごっそり根こそぎ魚を取っていく。

 ▼岩手県漁民組合の菅野修一さん

 昨年の海区調整委員会選挙に漁民組合から2人が当選した。これまで海区調整委員は選挙もないまま漁協や浜の有力者ばかりが務め、審議もなあなあで40分程度で終了していたが、私たちが入って2時間になった。せっかく委員になったのだから、浜の仲間の声を届けるためがんばりたい。

 ▼北海道焼尻島のマグロ漁師、高松幸彦さん

 マグロ資源を増やすことには小型漁船の漁師もみんな賛成している。しかし、減らす原因となったのは大型漁船の巻き網漁の増加であることはデータからも明らかなのに、その検証もしないまま、大量に取ったりしない昔からの釣り漁の小型船にも一様に取るなというのは、納得いかない。また、小型沿岸漁業と巻き網漁の大型漁船の漁場が競合する、これも大問題。漁獲規制するなら小規模漁業者の漁獲枠を優先し、大型漁船から規制すべき。いずれにしても漁獲規制しても沿岸漁民が生活できるしくみが必要だ。

 漁業も農業も家族経営を守れ

 農民連会長の笹渡義夫さんもあいさつし、「漁民も農民も食料供給を担っている。国連も持続的発展には家族経営を守ることが重要だと繰り返し指摘しており、生産費を基準に、家族経営を守る制度が必要だという農民や漁民の要求は、世界的にも道理あるものだ。ともに力を合わせよう」と呼びかけました。

(新聞「農民」2017.2.27付)
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2017年2月

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