「農民」記事データベース20170227-1252-01

日米2国間交渉で
さらなる譲歩の危険


異常なトランプ追随の
日米首脳会談

 トランプ米政権が発足して初めての日米首脳会談が2月10日(日本時間11日未明)、ホワイトハウスで行われ、軍事、経済面で日米軍事同盟のさらなる強化を確認。「米国第一」を掲げるトランプ大統領に対し、安倍首相は「日米同盟第一」の立場から異常な“トランプ追随”を際立たせるものになりました。

 首脳会談は、トランプ大統領による7カ国市民の入国禁止令に、アメリカの内外から厳しい批判が巻き起こるさなかに行われましたが、安倍首相は、この重大な国際人権問題を黙認する態度をとり続け、異様な追随姿勢を世界に示しました。

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安倍首相(左)とトランプ大統領(首相官邸ホームページから)

 米軍と自衛隊の地球的規模での軍事協力を推進

 会談後に発表した「共同声明」では、日米同盟の強化を確認し、「日本は同盟におけるより大きな役割及び責任を果たす」ことを確認。そのための日米の外務・防衛担当閣僚による「2+2」を開催するとしています。

 これは、戦争法(安保法制)に基づいて、米軍と自衛隊の地球的規模での軍事協力を推進し、海外で戦争する国づくりを誓約したことにほかなりません。また、沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設を、唯一の解決策として推進することを確認したことは、日米同盟のために沖縄県民の民意を踏みにじって新基地建設を押しつけるもので、断じて容認できません。

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日米首脳会談を報じる各紙

 異常な貢ぎ物外交、「2国間の枠組みに関して議論を行う」 ことを約束

 経済問題でも、安倍首相は「日本は、大統領の成長戦略に貢献し、アメリカに雇用を生み出すことができる」と述べ、トランプ大統領の米国内の経済政策に日本が全面的に協力・貢献することを表明。トランプ追随、異常な「貢ぎ物外交」となりました。

 今後の日米経済について麻生副総理とペンス副大統領のもとに「経済対話」を立ち上げ、経済対策、インフラ投資やエネルギー、貿易・投資のルールの3つの柱で協議することを合意しました。 この新たな枠組みが、アメリカの成長戦略に、日本の国益を投げ出して貢献する危険な枠組みになりかねません。

 トランプ政権がTPPからの永久離脱を決めたもとで、「日米間で2国間の枠組みに関して議論を行う」ことを含めて、日米の貿易と投資の「深化」をはかるための「最善の方法を探求することを誓約」したことも重大です。

 これは、TPP交渉で日本が譲歩した内容を前提に、日米2国間交渉によって、農業をはじめ、あらゆる分野でさらに譲歩に進む危険があります。

 トランプ氏は大統領に就任する前から「TPPではアメリカは損をする、日米2国間交渉で日本の市場を取りにいく」とを繰り返し宣言してきました。TPPが発効しないもとで日米FTA(自由貿易協定)交渉に入れば「2国間協定」が前面に出ることになり、TPP並行協議で日本が一方的に約束させられた日米交換公文のしばりもあります。こうしたもとでの2国間交渉は、TPP交渉でわずかに残された関税の撤廃や輸入枠の拡大、非関税分野の規制撤廃が押し付けられることは火を見るより明らかです。

 日米首脳会談と前後して、米国内で日米FTA交渉を求める声が急速に強まっています。アメリカの牛・豚肉の生産者団体は「日米FTAの早期交渉入り」を要求する書簡をトランプ大統領に送り、米の業界団体も「トランプ政権が対日FTA交渉に乗り出せば支援する用意がある」とする声明を発しています。

 トランプ追従政治は国民との矛盾が避けられない

 安倍政権が「米国第一」を掲げるトランプ政権に「日米同盟第一」で追従するなら、あらゆる分野で矛盾が深化して立ち行かなくなることは避けられません。戦争法廃止、日米2国間交渉を阻止する運動がいよいよ重要になっています。

(新聞「農民」2017.2.27付)
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2017年2月

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