「農民」記事データベース20170213-1250-06

SBS輸入米
入札価格続落

アメリカ産米が最安値更新


価格偽装を裏付け
国産米への影響重大

 価格偽装が大問題になったSBS(売買同時入札)輸入米。疑惑は何ら解明されないまま入札を再開し、昨年12月から短期間に3回の入札が行われました。

 「調整金」という名の裏金を禁止した結果、低価格の実態が一気に表面化し、主力のアメリカ産米は回を追うごとに価格を下げ、過去最安値を更新し続け、価格偽装の疑惑が裏付けられる結果となりました。今後、安値の輸入米が「公然」と出回ることになり、このまま放置すれば国産米価格に重大な影響を及ぼすことになりかねません。

 米国産は135円国産米の45%安

 疑惑発覚前の第1回(9月7日)以来、中断していたSBS入札。第2回(12月16日)、第3回(1月11日)、第4回(1月25日)と矢継ぎ早に実施されました。

 毎回成約数の最も大きなアメリカ産精米中粒種は、第4回の価格が疑惑発覚前の第1回との比較で1キロ当たり20円も安い135円(税別)という超安値を記録しました。直近の国産米の流通価格は1俵(60キロ)1万3255円(農水省調査、2016年12月全銘柄平均)。これを精米に換算すると245円。アメリカ米は国産米の45%安です。

 政府はSBS米は表向き「国産米並みの価格」と見せかけてきましたが、業者は裏金を使ってこんな安値の米を実際に流通させていたことになります。

 業務用米産地に大打撃、農家の努力も水泡に

 政府は18年からの米政策の「見直し」で生産数量目標の配分をやめ、地域と農業者の責任で米作りをさせようとしています。需給の混乱を慮ってか、17年産では、飼料用米への転換などで生産調整の深掘りを強力にすすめ、生産者も懸命な努力をしています。

 政府はまた、「需要に応じた米作り」と称して、外食産業などに向けての低価格米の生産にシフトするよう仕向けています。しかし、輸入米がこのような低価格で大手を振って出回ることになれば、政府の方針に応じた産地は大打撃を受け、生産者の努力も水泡に帰しかねません。

 「評価はできない」うそぶく農水大臣

 政府は、TPP交渉ではアメリカ、オーストラリア産の主食用米の増枠を受け入れながら、「輸入米の価格は国産米並みで影響はゼロ」などとごまかし、SBS価格偽装問題ではまともな調査もせずに「国産米価格への影響はナシ」としてきました。今度は「影響を評価するには資料として不十分(山本農水大臣)」などと言い逃れに終始しています。いったい、何回入札を行い、どれだけ国内に流通すれば評価ができるのでしょうか。

 日米交渉でさらに譲歩する危険

 トランプ米大統領はTPP永久離脱を決定する一方で、あからさまな自国優先の貿易方針を打ち出し、日本が農業をはじめあらゆる分野でTPPを上回る譲歩を迫られることは必至です。

 TPP批准と関連法案を強行した安倍内閣は、これに対抗する足場を持たず、アメリカの要求に応じる危険があります。

 改めてSBS価格偽装の徹底解明、輸入米ストップ、ミニマムアクセス米廃止、日本の米守れの声を大いに広げることが求められています。

(新聞「農民」2017.2.13付)
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2017年2月

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