「農民」記事データベース20170206-1249-01

ソーラーシェアリングで
地域と農業を再生しよう

千葉県匝瑳市
市民エネルギーちば

農業生産法人Three・Little・Birds

関連/農民連女性部第28回総会


売電収入で若い農家育て
耕作放棄地の生産を維持

 「一人ひとりの小さな力をつなぎ合わせ、自然エネルギーの活用で地球温暖化を防ぎ、脱原発社会をつくりたい。そして農業を再生して地域社会を守りたい」――そんな思いで、「ソーラーシェアリング」を実践し、地域農業を守ろうと奮闘しているグループが千葉県匝瑳(そうさ)市飯塚地区にいます。太陽光発電事業を行う合同会社「市民エネルギーちば」と、ソーラーパネルの下の農地の耕作を請け負う農業生産法人「Three・Little・Birds(スリー・リトル・バーズ)」の皆さんです。

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市民エネルギーちばのみなさん。パネルの増設工事中の若いスタッフと一緒に

 収益を地域還元することが大切

 なだらかに傾斜する丘陵に、広大な畑が広がる匝瑳市飯塚地区開畑(かいはた)。40年ほど前に、県営の農地開発事業で山林を切り開いて造成した農地ですが、粘土質の土壌は痩せているうえに、水はけが悪く、今では広大な耕作放棄地が広がり、近年ますます深刻化していました。「農家も高齢化しているし、このままでは地域全体が衰退してしまう。なんとかしたい、そう思っていたときに、農業と自然エネルギーを両立できるソーラーシェアリングという方法があることを知ったんです」と言うのは、「市民エネルギーちば」の代表社員、東(ひがし)光弘さんです。

「市民エネルギーちば」は、地権者である農家から農地を賃貸借して、農地の上に太陽光発電を設置・施工・維持管理し、下の農地の耕作は、昨年2月に発足した農業生産法人「Three・Little・Birds」に依頼。設置費用は、「市民エネルギーちば」が市民出資を募ったり、自然エネルギー事業に取り組む市民が興した企業が事業主になって出資したりしています。売電収入は、出資金の返済・還元のほかに、地権者への賃借料と、農地の耕作委託料となって、地域に還元される仕組みになっています。

 「自然エネルギー事業で重要なのは、利益が地域に循環すること。自然エネルギーはインフラ事業。インフラ事業は一部の人が金もうけするんじゃなくて、地域の若い農家を応援したり、地球環境や地域環境の保全に役立ったり、そういう社会全体のためになることが大切だと思うんです」と、東さんは言います。

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パネルを設置した畑で説明する東光弘さん。畑は小麦

 耕作受託料が若い農家の収入に

 「Three・Little・Birds 」には新規就農者や有機農業に取り組む農業後継者など30代の青年農家3人のほか、地域のベテラン米農家の椿茂雄さん、寺本幸一さんが参加し、機械を貸したり、農作業を教えたりして協力しています。

 寺本さんは千葉県農民連会員で、20年にわたる大豆畑トラストの大豆生産者でもあり、開畑の農地を守ろうと、この地で大豆、小麦、大麦などを30年近く作り続けてきました。「高齢でもう作れないという農家は多いけど、返済に長期間かかる多額の借金をしてソーラーシェアリングを自分でするのも難しい。このソーラーシェアリングの仕組みで農地を荒らさずにすむのは、本当に助かります。ぜひ若い人を応援していきたい」と寺本さん。

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畑を耕作する椿さん(中央)と寺本さん(左)。寺本さんは農民連会員

 椿さんは、「若い農家3人は、ソーラーシェアリングの農作業受託があることで収入が安定し、無農薬や有機農業など新しい農業にもチャレンジできています。若い農業者を育てる上でも大きな力になっているのです」と、話してくれました。


農民連女性部第28回総会
 会場と開会時刻が変更されましたので、再掲します
『生命を育む“農の力”“作るよろこび”
  “食べる笑顔”で、未来を切り開こう!』
◇2月6日(月)午後2時〜7日(火)正午
◇ホテルサンバレー富士見
      (静岡県伊豆の国市古奈185‐1
 ※伊豆長岡駅・三島駅から送迎バスが出ます
◇記念講演 枝元なほみさん(料理研究家)
◇参加費 1万2500円(資料代、宿泊費込み)
 問い合わせ・申し込み=農民連本部女性部
赤字が変更点です

(新聞「農民」2017.2.6付)
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2017年2月

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