福島県農民連 農民連本部
東京電力・国と交渉
賠償打ち切るな 被害者の声聞け
福島原発賠償問題
福島県農民連と農民連本部は2017年12月20日、東京電力本社と政府と交渉しました。
東電は昨年、福島第一原発事故の農業の営業損害の賠償について、「17年1月以降は、2倍(※26日に出された最終賠償方針では3倍とされた)を一括払いし、18年以降の一律賠償はしない」、「19年1月以降の賠償は、各農家などの個別の事情に応じて対応する」とした賠償案を発表。今なお原発事故の被害に苦しむ被害者から、「一足先に2倍一括払いが行われた商工業では、2倍が全額払われた事例はほとんどないのが実態だ」、「事実上の賠償打ち切りだ」との強い怒りの声が広がっています。
福島県農民連は交渉で、「こうした被害者の暮らしや生業を左右する重要な決定を、いったい誰が見直して、誰が実施し、誰が責任をとるのか」と追及しました。東電は「見直したのは当社です」と回答。すかさず参加者から「東電の誰が見直したのか」との質問が飛びましたが、「誰ということではございません。当社として見直しを判断した、ということでございます」と木で鼻をくくったような回答を繰り返しました。経産省や、原子力損害賠償紛争審査会を管轄する文科省も、この判断を容認する姿勢に終始しました。
参加者は、「国会審議も経ず、あまりに無責任で一方的だ」、「国は東電にばかり話を聞かないで、現地に足を運んで、被害者の声を聞いてほしい。被害者はいま、本当に助けが必要なひどい状況だ。賠償で解決できない問題もある。国の力を発揮して真剣に実態を調査し、必要であれば法律も整備し、東電を指導して、被害者の立場に立って福島の復興に取り組んでほしい」と、訴えました。
福島県農民連はこのほか、「実測による農地一筆ごとの汚染マップの作成」、「農地への賠償」、「汚染された土壌で農作業する農家の健康被害の対策強化」、「放射性物質による土壌汚染対策の法制度の拡充と実施」、「水田などでのエネルギー作物の栽培支援策」などを要請。個別事例では、酪農で原発事故が原因で飼料変更を迫られ、牛が死亡している事例での賠償と、国による調査・対策強化を求めました。
日本共産党の岩渕友、畠山和也両衆院議員が同席しました。
(新聞「農民」2017.1.16付)
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