地域に新風を吹き込む
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菜の花畑の前に立つ伊豆さん |
親元就農してからこれまで、日本の養鶏業界には幾度にもわたって鳥インフルという嵐が吹き荒れてきました。万一発生すれば周辺の農家に卵と鶏の出荷移動制限がかけられ、その期間は発生源となった農場での殺処分と消毒作業が完了してから10日間。日本の養鶏農家の平均飼育羽数が3万羽を超えている今、その間出荷も廃棄もされず溜(た)まっていく卵の量を想像しただけで、鳥インフルがどれほど農家に深刻な打撃を与えるかおわかりいただけるでしょう。
ブランド化に成功した農家も、楽な道を歩んできたわけではありません。「卵は安いもの」という長年にわたって培われた意識が壁となってきました。安心で安全な質の高いものを作るには、相応のコストがかかるという当たり前のことが、卵となると突然「安くて当然、安全で当たり前」に取り替わってしまうのです。
自家配合飼料で育ちました |
これには、養鶏業界の抱えてきた事情もあります。鳥インフルが騒がれるようになってから、農家は以前にも増して防疫対策に追われるようになり、野鳥はもちろん、関係者以外の出入りを厳しく規制してきました。その結果、鶏卵生産の現場は消費者の目の届かないものになったのです。
鳥インフルエンザの影響を引きずったまま始まった2017年酉(とり)年ですが、この暗闇の中にも、地域に生きる若い農家は確かに新しい光を見いだしています。
長野・小諸市 布施和子 |
奈良・山添村 藤森妙子 |
[2017年1月]
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