「農民」記事データベース20161226-1244-01

福島から沖縄へ

福島県青年部が視察旅行
辺野古と高江のたたかい学ぶ

郡山地方農民連 菊地穂奈美さん
リポート

関連/新年号のお届けについて

 11月下旬、福島県農民連青年部の4人が沖縄の視察研修に行きました。そこで見たこと、感じたことを、福島・郡山地方農民連事務局の菊地穂奈美さんにリポートしてもらいました。


米軍基地も、原発も、
日本の、自分の、問題だ

 移設ではない辺野古新基地

 私にとっては2度目の沖縄。昨年、福島県農民連で行って以来。そのとき贈った軽自動車は、昨年は辺野古に、今は高江への送迎に大活躍しているとのこと。良かった!

 沖縄はあいにくの雨。辺野古にほど近い、大浦湾は静かだった。現在は辺野古での工事は中断されており、オレンジのフロート(浮き具)も撤去されていた。以前フロートがあったラインに沿って監視船が何隻も。でもそれは海上保安庁の船ではなく、地元の漁船だ。

 「普天間基地の辺野古移設」と言われるが、実際は“辺野古移設”ではなく“辺野古新基地”だ。普天間にはない、弾薬搭載場などが新設される。ジュゴンの食(は)み跡もあり、2000年もかかって育ったサンゴもある大浦湾を、長さ1800メートル、そして高さはなんと10メートルも埋め立てる「辺野古新基地」は、耐用年数200年といわれ、恒久化は必至だ。

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辺野古のテント村を訪れた福島県青年部の一行。右から、岩渕望さん、菊地穂奈美さん、菅野瑞穂さん、三浦草平さん。説明してくれた現地の方(左端)と一緒に

 高江の森では無法状態が続く

 高江には固有種のノグチゲラをはじめ、何千種類もの動植物が生息する。その豊かな森を切り倒し、空から見ると大地に穴が開いたようなオスプレイパッド(着陸帯)が建設されている。基地反対の民意が今夏の参院選でも示されたのに、その翌日から工事を強行。県警の機動隊を、そして全国から500人ともいわれる機動隊をゲート前に投入し、暴力的な排除、差別発言、道路が封鎖されたりといった無法状態が続いている。

 私たちが高江に着いたとき、県外ナンバーのバス2台に機動隊が乗り込むところだった。スタンディングで抗議していたのは十数人。たった十数人に、バス2台の機動隊…! 建設反対の座り込み行動の拠点になっている「N1裏テント」を訪れると、低空飛行で旋回するオスプレイが、わがもの顔で何度も何度も、やんばるの森の上を飛んでいた。轟(ごう)音。異様さと、恐怖。

 宜野湾市。普天間基地を見下ろすことのできる公園の裏では、オスプレイの轟音が響くなか、子どもたちが遊んでいた。

 僕らが見てきた沖縄。それはほんの一部だとしても、伝えきれない。だけど多くの人に知ってほしいのだ。

 0・6%の沖縄に75%もの基地が

 「基地の問題は沖縄の問題」――そうじゃない。日本が考え、私たち一人一人が考え、向き合うべき問題だってことを改めて感じた。日本のわずか0・6パーセントの面積の沖縄に75パーセントもの米軍基地を押し付けている。日本の主権問題を、沖縄に押し付けている。沖縄は土地を、心を、どれほど犠牲にしてきたんだろう。海を、森を、アイデンティティーを、どれほど犠牲にしてきたんだろう。もうずっとずっと昔から、どれくらい多くの犠牲を僕らは強いてきたんだろう。想像ができない。できない。

 なんで沖縄まで行って抗議行動するんだって、思われてるかもしれないし、言われる。だって僕も考えるべき問題だからだ。

 そう。「原発の問題は福島の問題」じゃないってこと! 基地の問題も、原発の問題も、日本の、自分の問題として考えてほしいのだ。だから、沖縄と福島の連帯ってだけじゃなくて、全国とつながっていきたい。みなさんの支援を沖縄へ。それは巡り巡って福島への支援だ。

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辺野古の海を見ながら説明を受ける一行

 オール沖縄に見る“民主主義”

 オール沖縄に見るもの。

 国は、「翁長(おなが)県知事の辺野古埋め立て承認取り消しは違法」と、沖縄県を訴えた。国は最高裁で勝利し、辺野古の工事を再開させる気だ。しかし翁長知事はあらゆる知事権限を行使して建設を止める構えでいる。

 以前、辺野古テント村の安次富(あしとみ)浩さんが言っていた。「いつかオール沖縄をオール日本にして、そしたら翁長さんを総理大臣にしたい」と。笑って聞いたけど、沖縄に行って、いろんな人の話を聞いて思った。「みんなで知事を支えている」と言っていた。オール沖縄に見る。「これが民主主義だ」と。

 「勝つ方法はあきらめないことだ」と笑顔で抗議行動を続ける人たち。「全国からの支援があったからがんばれたし、オール沖縄を実現していけるんだ」と。

 原発事故から5年9カ月、福島切り捨て政策が進む今。分断を乗り越えて連帯していくために、僕らが学ぶべきところがここにあると思う。

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名護共同センターの事務所で。福島県農民連の会員からの寄せ書きを手渡しました

 勝つ方法はあきらめないこと

 沖縄は、いいところだった。海はきれいで森は神秘的。11月だというのに、雨でも寒くないし、トロピカルな花は咲き乱れてるし、パイナップルうまいし、バナナは沖縄産だし! …で、与党はオール沖縄だし!(笑)

 「いつまでもいたいなー」って思うし、また何度も来たいって思う。沖縄のたたかいに、僕らは勇気をもらう。

 福島の11月は寒いけど、安達太良山が今日もきれいだから、僕はやっぱり、福島でがんばるんだって思うんだよ。

 ありがとう、僕はまた進む。長い道かもしれないけど、いつか言うのだ。

 「勝つ方法はあきらめないこと」


新年号のお届けについて
 次号は2017年1月2日・9日付合併号(新年号)をお届けし、年末年始にあたる翌週の配達はありませんのでご了承ください。
(新聞「農民」編集部)

(新聞「農民」2016.12.26付)
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2016年12月

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