「農民」記事データベース20161212-1242-17

旬の味


 東日本大震災に伴う原発事故から5年8カ月が経過した。“復興”という言葉は明るい未来を感じさせ、“再び興すこと”という意味がある▼しかし、“再び興す”意欲があっても百姓の命である“土”が戻らない。まして避難地域は時に除染土の黒い袋の山が続いている。声にならない光景が広がっているのに帰還させるという▼この福島の現実を実際に足を運んで見てもらいたい。そして原発から50キロ離れた地区に住んでいる私たちが農業再生のために取り組んでいることを知ってもらいたい。その思いで娘は会社を立ち上げた。私と2人だけの小さな会社だ▼旅行会社との提携で田植えや稲刈りなどの農業体験と組み合わせたスタディーツアーを実施している。若い世代の参加者が多く、参加者の中からここに住む地域おこし協力隊員や新規就農者が生まれたことが心強い▼阿武隈の山々が初冬の景色となり、わが家からはもち米を蒸すにおいが漂いはじめた。加工をはじめて18年。今年もおいしいお餅を届けよう。

(ま)

(新聞「農民」2016.12.12付)
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2016年12月

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