規制改革推進会議の「提言」に
批判の声
民間組織である農協の事業や
経営への不当介入
大分・下郷農協代表理事組合長 矢葺a廣さん
提言は、突然としか言いようがなく、今回は、「平成26年6月の与党とりまとめ」や「規制改革実施計画」を全く無視し、農協改革の本来の目的とする「農家所得の向上」とも逆行する、理解しがたい“農協潰し案”そのものです。
農協に限らず、協同組合は、自主・自立を原則とした民間組織であり、今回の提言は協同組合の事業や経営に不当に介入するもので、偏ったメンバーで構成された規制改革推進会議を組織した安倍政権の責任も重大だと考えます。
そもそも、農協は「農家組合員が主人公」であり、それぞれの農家組合員が出資し、組織も運営し、さらに利用もすることで自分たちの経営や生活を豊かにしようとする組織です。
自分たちの農協をどうすべきか、どうあるべきか、など様々な課題は組合員が総会や理事会、座談会など自分たちで決定していくものです。
本当に農協の経営や進め方がおかしければ、組合員が声をあげるし、自ら改善するでしょう。「農協改革」は、あくまで「主人公である組合員」が決めることです。
全国農協中央会など系統組織の代表機関は、「農協改革」がTPPに反対してきた農協組織に対する見せしめであり、改革という名を使った「農協潰し」であることを認識し、いよいよ「自民党支持」という過去から態度に終わりを告げ、選挙で自分たちの意思を表明するという団結のときだと思います。
全国の農協組合長は、農協改革や今回の提言に憤り、各地で声をあげています。本当の意味での農協に生まれ変わるのも近いかもしれません。
「農協運動」が全国で広がっていくことに期待し、私も全国一小さい農協の維持に向けて精いっぱいがんばります。
政府の改革には大反対、
口出しする問題ではない
新潟・JAささかみ代表理事組合長
清田(せいた)壽一(ひさいち)さん
政府による「農協改革」は大反対です。11月21日に東京で開かれた集会でも多くの代表者から強く反対する意見が相次いでいました。自己改革を認めるべきであり、政府が口出しする問題ではありません。
今後どのようなことが議論されていくか心配ですが、最終的な狙いは信用・共済事業への参入であることが目に見えてわかります。合併していないJAささかみは小さな農協ですが、総合農協として活動しており、共済事業でも約700億円の契約引受金額があり、そこが切り離されたら農協は存続ができなくなってしまいます。
いま行われている議論は、かつての郵政民営化のときと同じ流れといえるでしょう。准組合員の規制についても大きい農協ほど割合は高いため、影響は甚大となります。
農家の所得を少しでもあげていくことは当然であり、資材等価格の引き下げも検討しているところです。幸い、当農協は販売面でも長年にわたる生協とのつながりで、米の仮渡金も多く支払いができています。若い人たちが続けていけるような魅力ある農業を目指していきたい。
参議院選挙でも新潟県知事選挙でも結果に表れているように、政府が進めようとしている改革に多くの農家は良いと思っていません。TPPも含めて、日本国民が大きく声を結集していくことが必要だと思います。
(新聞「農民」2016.12.12付)
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