「農民」記事データベース20161128-1240-17

地域の話題
あれこれ

奈良県 森本吉秀


今も昔も自然の恵みに感謝
実りの秋に絆が強まる祭り

 獣害に苦しむ農家の心情は…

 いま各地で収穫祭が盛んですが、昔からの収穫祭といえば年中行事として行われてきた「亥の子祭り」です。祭りは旧暦10月の亥の日の亥(い)の刻に、稲の収穫祭として続けられてきました。亥の子の神様は春に現れて田の稲を守り、秋の取り入れの後に帰ると考えられ、その送る行事でもあり、稲刈りが無事に終了した感謝祭でもあります。

 イノシシの多産にあやかり、無病息災と子孫繁栄を祈る行事でもありますが、私が住む集落でもイノシシの獣害に苦しめられている農家の心情は複雑です。

 11月13日に神社で「亥の子祭り」が夜に行われるので、役員総出でお供え物などの準備のため昼に神社に集合して夜の祭りに備えました。

 私が子どものころは「亥の子の晩に餅つかん家は…」と村中を子ども会の行事で夜に練り歩き、数年前までは各家を一軒一軒回って神主さんに台所のおはらいをしてもらっていましたが、今は簡素化されて、神社でたかれた火の前で1時間程度の神事を行うだけとなりました。

 稲刈りや芋掘り体験イベントも

 現在の収穫祭も昔からの収穫祭である亥の子祭りも自然の恵みに感謝し、人のつながりを強めるという点では共通しています。11月に入っても稲刈り体験や芋ほり体験などの収穫イベントが続いていますが、実りの秋にみんなで感謝し絆が強まる祭りの値打ちが高まっています。

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みんなで稲刈り体験

 毎年恒例の大阪の保育園の「芋ほり&みかん狩り」は最終組が11月1日にやってきました。キトラ古墳にほど近い広大な芋畑には100人を超える親子が大きな芋の出現にあちこちから歓声がおきていました。すると幼稚園の園長先生から「芝生広場に朝から大きな猿が一匹うろうろしているから気をつけて…」との連絡。イノシシ、シカ、アライグマに猿までも…。

 田ではしゃぐ未来の百姓たち

 6日は学校給食の地産地消を広げる運動に取り組んでいるお母さんたちが子ども連れで参加しての稲刈り体験。万葉集にも歌われた天の香具山の麓の15戸の集落で、田んぼには朝早くから未来の百姓たちがはしゃぎまわり稲の刈り取りを親子で楽しんでいました。

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芋ほりにあちこちから歓声

 12日は米の検査。何とか全て1等でひと安心でした。

 亥の子祭りも終わっていよいよ門松立てなどの正月の準備ももうすぐそこです。

(新聞「農民」2016.11.28付)
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2016年11月

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