TPP批准
農業がダメに、食の安全守れぬ
野党統一で勝利した
桜井充参院議員に聞く
(宮城県選出・民進党)
プロフィル さくらい・みつる 1956年、仙台市生まれ。医師。財務副大臣、厚生労働副大臣、民主党政策調査会長などを歴任。現在、参議院東日本大震災復興特別委員会委員長
TPP断固反対
TPPについては、今の内容ではとても受け入れられません。断固反対です。低関税で安い農産物が日本に多く入ってきて、日本の農業が壊滅的な打撃を受けます。また、食品でも、日本では認められていないような添加物が含まれるもの、または放射線を照射して処理されているようなものなどが入ってくるおそれがあります。
TPPでは農業がだめになり、食の安全が守れないから反対です。
私は、与党のときに民主党のTPP問題の責任者でした。その際に、アメリカの代表者に対して、知的財産権のようなものはいいが、関税については、「これは外しませんか」という提案をしたのです。
これに対して、アメリカ通商代表部のカトラーさん(代表補)から「アメリカにはアメリカの事情があるから難しい」と言われて、結果的には今のような内容になってしまいました。
安いものが入って
しかし今、米大統領選挙のクリントン、トランプの両候補は、「結局安いものが入ってきて、雇用が失われるかもしれないからTPPはダメだ」という主張をしています。当時私が言ったように、関税について外しておけば、こういうことにはならなかったと思います。
それでは、TPPがなくなったら農業は大丈夫なのか。すでにオーストラリアとFTA(自由貿易協定)を結び、政府は今後、ヨーロッパとEPA(経済連携協定)を結ぶ、ということになってくると、おそらくアメリカとも2国間でFTAを結ぶという議論が出てくると思います。
元気な農業つくる
TPPを結ばなくても、農産品はどうするのかという議論は出てくると思います。
それに対しての対策が、戸別所得補償だと思っています。世界では当たり前のように所得補償をしています。民主党が当時実施した戸別所得補償政策に対して、「農家に対するばらまきだ」と相当批判がありましたが、それはまちがいです。
世界貿易は農産品の価格を安い方に合わせていますから、その分、所得が減るので、それを税金で補てんするというだけであって、農家の所得そのものは変わっていないのです。
農家に所得を補償することに「ばらまき」という批判は当たりません。
従って、TPPの有無にかかわらず、元気な農業をつくっていくためにも、戸別所得補償は必要だと思います。
(新聞「農民」2016.10.31付)
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