パリ協定 11月に発効
TPPより先に
パリ協定の批准を
安倍政権は出遅れる“大失態”
異常気象による災害が頻発し、地球温暖化防止の重要性がますます高まっているなか、2020年以降の地球温暖化対策の新たな世界的枠組みとなる「パリ協定」が、11月4日に発効することになりました。
当初、発効は2018年、早くとも17年になると見られていましたが、排出量第1位、第2位の中国、アメリカが9月初旬の首脳会談で批准したのを機に、一気に批准の流れが加速。排出量第3位のインドや、EU(欧州連合)も批准する文書を国連に提出し、「世界の排出量の55%以上、55カ国以上の批准」の発効条件が満たされることになりました。
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パリ協定が採択され喜ぶ議長団 |
このため、11月7〜18日にモロッコで開かれるCOP22(第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に合わせて、第1回となるパリ協定締約国会議(CMA1)が開催され、「パリ協定」の具体的なルール作りが始まることになります。議決権を持つのは当然、「批准国だけ」です。
ところが、安倍政権はTPPの批准を急ぐあまり、今国会にはパリ協定の批准案を提出もせず、安倍首相の所信表明演説でも一切触れないというお粗末さです。世論の声に押され、10月11日になって今国会に批准承認案を提出する閣議決定をしたものの、19日までに批准できなければCMA1には「批准国」としての参加はできません。
この“大失態”に慌てた安倍政権は、国際条約の承認は本来、衆議院を先に通過させるべきところ、TPPの審議を邪魔しないように参議院での審議を先行させて、COP22までには批准を間に合わせたいと言い出しましたが、きわめて危うい見通しです。
パリ協定批准に反対する政党は与野党とも一つもないなかで、「TPP批准が最優先」の国会運営をゴリ押しする安倍政権に、環境NGOをはじめ市民からも「TPPより先に、パリ協定を批准すべき」との強い批判の声が上がっています。
(新聞「農民」2016.10.24付)
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