地域の話題
あれこれ
岩手県
久保田みき子
来年の日本母親大会は岩手で
全国の母親の願い共有したい
1955年7月にスイスで開催された世界母親大会。14人の日本代表団のなかに、岩手県から参加した、ズーズー弁でモンペ姿の土川マツエさんという農村女性がいました。「農村婦人の解放なくして婦人の解放なし」と推薦され、「戦争で子どもを失った母親の代表」として参加したのです。
土川さんは、入会(いりあい)権の訴訟で知られる小繋村(こつなぎむら。現在の一戸町)の人で、「畑も蚕もみんなで引き受ける。後のことは心配しなくていいから」と送り出されました。
参加費用80万円は、1円、2円の小口カンパ運動が繰り広げられ、最終的には100万円以上が集まりました。
土川さんは帰国後、2年をかけて県内はもとより東北各県、180カ所で報告会を行い、約1万6000人の女性たちが参加。あまりの参加者の多さに公民館の2階が落ちた所もあったほどでした。
1988年に岩手で開催された第34回日本母親大会では、こうした経験をあらためて学び直し、その精神を発揮。「初めての経験」が続出する大会となりました。
たとえば、今では毎年行われている、大会前に開催県内の全市町村を訪問し、協力を要請する「母親キャラバン」。「県内全市町村からの参加」を実現したのも、岩手大会が初めてでした。
そして農村・漁村女性の参加が過去最高となったのも、この岩手大会です。その背景には、牛肉・オレンジなど農産物の輸入自由化が大問題となったことがありました。各地で農協婦人部などとの話し合いや学習運動が広がり、農業を守ろうという機運が「田んぼの向こうに安保が見える」といわれるほどに高まりました。
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今年の母親大会(石川県) |
さて、安倍政権によって「戦争法」が強行され、憲法が最大の危機を迎えているなか、来年の第63回日本母親大会が、再び岩手県で開催されます。先輩たちが広げてきた運動を学び、さらに未来につながる大会にしていきたいと、岩手の女性たちはもう動き始めています。
農民連女性部にとっても大きなチャンス。全国の女性たちのがんばりを見て、感じることができます。多くの新しい人にも参加してもらい、「世の中は変えることができる」ということを、みんなで共有していきましょう!
(新聞「農民」2016.10.10付)
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