「農民」記事データベース20161010-1233-06

東日本大震災上回る被害だ

岩泉

関連/救援募金の送り先

 8月30日に岩手県に上陸した台風10号は、かつてない豪雨で大規模な被害をもたらしました。特に被害が大きかったのは、沿岸中北部で、南北100キロメートル、東西50キロメートル以上の広範囲に及んでいます。
 全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)は9月26日、現地調査を行いました。調査には全国災対連の川村好伸事務局長、農民連の笹渡義夫副会長と、いわて労連、岩手県農民連が参加しました。


岩手

台風10号甚大な被害
全国災対連が現地調査

 ワサビ畑冠水し来年の準備遅れ

 19人の死者が出た岩泉町は、幹線道路の土砂は除去されているものの、川沿いの道路が崩落し、片側交互通行となっているところが随所にありました。川沿いの水田や畑が無残に土砂で埋まっていました。

 岩泉町議会議員の林崎竟次郎(きょうじろう)さんは、「東日本大震災よりも被害の規模は大きい。津波は沿岸部が中心だったが、今回は上流の山間部から下流の平地まで、被害が広範囲に及んでいる」と語ります。

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作業小屋になだれ込んだ土砂が乾いてひび割れした状態に(岩泉町)

土砂に埋まったままの水田・畑

 山間部の安家(あっか)でワサビ栽培を続けている三閉伊農民組合の川端清人さんを訪問。収穫したワサビの選別作業をしていた川端さんは、「大きな被害はなく、出荷を続けている」と語りますが、作業小屋の中に土砂が入り、まだ土砂の撤去が終わっていない部分が乾いてひび割れたままでした。作業場脇の路面が川底のようにえぐれており、猛威の跡をうかがい知ることができます。ワサビ畑も一部が冠水し、泥をかぶったところがありますが、来年にむけて生育に支障がないよう泥を払う作業はこれからだといいます。

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作業場脇の路面がえぐれて川底のように(岩泉町)

被害域広く復旧まだまだ
個人の努力もう限界、公的支援を

 経営の再開に資金の心配が

 久慈市では、2メートルの高さまで浸水した中心街の3軒の業者を訪問。クリーニング屋さんは、お客さんの信用と従業員の暮らしを守るために、預った品物の洗浄と経営再開に心血を注いでいるといいます。いち早く壁の貼り替えを終え、設備も導入して経営を再開しようとしている理髪店。築63年の純和風建築の旅館が被害を受けたおかみさん。どこでも経営再開に先立つお金の心配が切実です。

 岩泉町、久慈市とも被害は広域に及んでおり、復旧にはまだまだ時間がかかるとみられます。農業、自営業、住宅など、復旧にむけた作業が続いていますが、個人の努力だけでは限界があります。公的な支援が必要なことが、現地調査を通して改めて浮き彫りになりました。

(岩手県農民連 岡田現三)


救援募金の送り先
 北海道、岩手の台風・長雨被害救援募金を呼びかけます。
 ゆうちょ銀行から振り込む場合
 記号 10030
 番号 61671711
 名義 農民連災害対策本部
 他の金融機関から振り込む場合
 店名 008
 普通 6167171
 名義 農民連災害対策本部

(新聞「農民」2016.10.10付)
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2016年10月

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