生産・消費の広がり
日本でも大いに期待
すばらしいマメの魅力
開発途上国に欠かせぬ作物
関連/もっと食べてもらうよう啓発・PR活動に努力
今年は国連総会で制定された「国際マメ年」です。各国の関係機関や業界が協力して、豆類の生産・消費の普及啓発を図り、多くの人々に豆類の素晴らしさを知ってもらうことが目的です。日本でも、生産と消費の広がりを期待して、豆にまつわるさまざまな取り組みや啓発活動が行われています。
国際マメ年で定義されるマメとは、「マメ科の植物のなかで乾燥種子を収穫するために栽培されるもの」をいい、インゲンやレンズマメ、エンドウマメなどのいわゆる雑豆を指します。
マメは、植物性たんぱく質、アミノ酸、その他の必須栄養素の重要な摂取源で健康食品として奨励され、広く生産、消費されています。さらに、マメのもつ窒素固定作用は土壌の肥沃度を高め、二酸化炭素の排出を少なく抑えます。
小規模・女性の農業者にとって重要
マメは、開発途上国の小規模農家、とりわけ栽培の多くを担う女性農業者にとってますます重要な作物であり、途上国のコミュニティーには欠くことのできない作物です。
世界各地の豆類はシルクロード等を通じて広がり、そのほとんどが中国を経由して日本に伝来しました。
アナトリア(現在のトルコ)で発見された遺跡により、ヒヨコマメやレンズマメの古代の農業生産は、紀元前7000〜8000年に遡るとみられています。
小豆などの豆類についての消費・啓発活動を行う(公財)日本豆類協会振興部長の中村利男さんの話
日本では、豆類がいろいろな行事を盛り上げたり、季節の移り変わりを味わう特別な食材として利用されたりしてきました。おせち料理や赤飯、和菓子にも使われ、日本の伝統文化にも密接に関わってきました。
また、日本人の食生活のなかで、米を主食とし、仏教の影響により肉食が忌避されたことから、豆類がたんぱく質供給源としての役割を担ってきました。
今では、優れた栄養、機能性をもち、健康的な食材として浸透しています。日本の雑豆の年間消費量は約16万トンと推計されますが、食品用大豆の年間消費量の100万トンと比べると、もっと増えてよいのではないかと考えます。
今年は天候不順など厳しい条件下にありますが、農家の方も、品質のよいものを安定的につくって、消費者・実需者に届けていただきたい。雑豆の需要は一定程度ありますが、努力次第では、これからもっと消費が増える余地があると思います。
私たちも、豆料理レシピ集などの作成・配布やホームページ、フェイスブックなどの媒体を活用しながら、雑豆の優れた栄養機能性、豆料理のおいしさをもっと知ってもらい、食べてもらえるよう、消費者、とくに雑豆、豆料理に関心の薄い若い人への啓発、PR活動に努力していきたいと考えています。
(新聞「農民」2016.9.26付)
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