アメリカ「食品異物混入基準」ギョギョギョ!ウジ虫・
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異物混入基準を示す米FDAのホームページ |
カビについては、別掲の計測方法にもとづき、顕微鏡で観察される菌糸の存在率を%で示します。これは菌糸数ではありませんが、食品へのカビの混入を認めていることはまぎれもない事実です。
(1)検体を2枚以上のスライドガラスに用意し、顕微鏡で25カ所〔25視野=顕微鏡で見える範囲のこと〕ずつ観察する(合計50視野以上)。 (FDAのホームページから)
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FDAは加工食品について「適正製造規範」を定めていますが、同時に「自然由来で不可避」の異物の混入を認めています。その理由は「異物を全く含まない食品の生産は経済的に実現困難であるから」。つまり、経済効率優先で、ウジ虫やハエの卵、ネズミの毛、カビを含んだ食品も合法とするというわけです。
FDAはこれらの異物を「無害で、自然に発生する不可避の異物」としています。しかし、果物にたかり、糞(ふん)便や腐敗動物には接触しないとされるショウジョウバエ(コバエ)の卵やウジだけでなく、「ハンドブック」は「その他のハエ」も含めて基準を定めています。ネズミや昆虫、カビが「無害」とはとうてい言えないでしょう。
こういう基準の結果、「アメリカでは食虫の習慣がない人でも年間およそ450グラムの虫を口にしている」ともいわれています(ビジネスジャーナル、8月16日)。
マッシュルーム缶詰に混入するウジ虫20匹未満ならOK |
日本の食品衛生法は「不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがある」食品の製造販売などを禁止しています。「異物」の定義は定められていませんが、通常は食品に入っていないはずのものが「異物」と判断されます。
ゴキブリは「異物」であり、どのような病原菌を持っているかも分からないので「人の健康を損なうおそれ」があります。日本の法制度は、こういう異物が混入した食品の流通を認めていない
のに対し、アメリカでは一定のレベルまでは許容するというわけです。
しかし、TPPの食品安全基準の原則は“科学原理主義”であり、「科学的証拠」がないかぎり、規制措置を認めない立場です。WTO(世界貿易機関)が、科学的証拠が不十分な場合にも「暫定的に衛生植物検疫措置を採用することができる」という「予防原則」を認めているのとは大違いです。
FDAは、今や食品衛生のグローバルスタンダードとなった感があるHACCP(ハサップ)の開発者です。TPP流“科学原理主義”のルールのもとでは、FDAの基準は「科学的証拠」にもとづく基準として絶対化されるおそれがあります。
TPPのもとで、ウジ虫やハエの卵、ネズミの毛、カビの混入を認めるFDA基準をクリアした食品の輸入を拒否した場合、アメリカ政府の圧力にさらされるおそれがあります。
また、アメリカの食品企業がISD(投資家対国家紛争解決)提訴を突きつけることも大いにありうるといわなければなりません。
サクランボジャムなどに関するカビの混入基準を30〜45%と記述しましたが、この数値は正確には、カビの測定方法の一つであるハワード法にもとづき、顕微鏡で一定数の視野を観察し、菌糸が存在する視野が何%あるかを計測するもの(菌糸の存在率)であり、菌糸数を示すものではありません(計測方法は別掲カコミをご覧ください)。
記事では、菌糸数のパーセンテージを示すかのような印象を与えましたが、不正確な表現でした。
訂正しておわびするとともに、記事を修正・補強して、本号に再掲載します。
[2016年9月]
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