福島切り捨てを許さない
福島県農民連
首相官邸前の要求行動
政府・東電との交渉
関連/放射能汚染で飼料変更 飼育牛の死亡多発
「安倍政権・東電の福島切り捨てを許さない!」――福島県農民連は9月7日、首相官邸前での抗議行動と、政府・東京電力との交渉を行い、県内各地から上京した会員など約100人が参加しました。
農地一筆ごとの汚染測定で
農家の被ばく低減措置とれ
責任もてない原発もうやめるべきだ
首相官邸前でマイクを握った福島県農民連の根本敬会長は、「8月に自民党が発表した『復興加速化のための第6次提言』には、賠償は十分にされているという旨の記述が6カ所も出てくる。こんな福島切り捨てが許せるか。その一方で安倍政権は、東電のような事故を起こした事業者の賠償責任を有限にし、払いきれない場合は国が肩代わりするように、賠償制度を変えようとしている。事故の責任も持てないような原発はもうやめるべきだ。子や孫にこんな犠牲を残すのは、絶対に阻止しよう」と、訴えました。
これまでの姿勢を一歩も出ない回答
国会内で行われた交渉では、経産省、環境省、農水省、厚労省、東京電力本社のほか、東京電力の弁護士が初めて臨席しました。
福島県農民連は今回も、避難指示区域の内外を問わず農地一筆ごとに土壌を実地測定して汚染マップを作成し、農家の被ばく低減措置をとることを強く要求。これらの要求は、もう4年間も福島県農民連が続けてきた内容です。
しかし、環境省、農水省、厚労省とも「土壌汚染も2キロ四方ごとに飛行機から測定した空間線量から推定できるので、実地測定は必要ない」、「区域外であれば特別な線量管理をせずとも安全に営農できる。不安な人は測定バッジをつけて、空間被ばく線量を測ればよい」、「電離則は被雇用者が対象で、事業者は対象外」、「放射性物質を土壌汚染防止法の対象とするかは、除染作業の進ちょくを踏まえて検討中」などと、これまでの姿勢から一歩も出ない回答に終始しました。
迫られるといつもだんまり姿勢の国
福島県農民連は、自らが実地測定した汚染地図も示して「汚染は実際には2キロ四方よりもっと狭い範囲でも、大きなバラツキがある」、「農家は土壌を相手に作業しており、空間線量の測定だけでは不十分だ。県だって農家向けに土を吸いこむな、などの注意喚起を書いたチラシを配っているではないか」、また「農家は放射線管理区域より高い汚染のなかで毎日働いているのに、事業主だから被ばくは自分で管理しろというのは、国として無責任きわまりない」と迫りました。
しかし国側は、詰め寄られると「うちの担当ではない」などとだんまりを決め込んだため、この要請内容を、どの行政府の、どの部署の、誰に伝え、誰が担当するのかを、文書で回答するよう求め、国側も回答を約束しました。
東電側賠償拒否
また、福島県内では原発事故後、牧草地が放射能汚染したことによる飼料変更や、除染による牧草のカリウム過剰によって、酪農家の牛の死亡が多発しています。
川俣町の酪農家は、2013から14年の2年間で飼育していた牛の約半数の12頭が死亡した実例をあげて、「50年牛飼いをしてきて、こんなことはなかった。原発事故が原因なのは明らかだ」と、賠償を求めましたが、東電は「事故との因果関係が明確でない。現在、状況確認中」などと賠償を拒否。会場からいっせいに「そんな引き延ばしはするな! 農家も死んでしまう!」と、怒りの声がわき起こりました。
(新聞「農民」2016.9.19付)
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