熊本地震から5カ月遅々とすすまぬ農業の復興全国災対連が被災地を視察
田んぼに亀裂・段差
4月14日、16日と、連続して震度7の大地震に見舞われた熊本県。死者50人、負傷者2355人、建物被害15万6941棟、農業にも甚大な被害をもたらした熊本地震から5カ月が経過した今、被災地の現状や復興の道のりはどうなっているのか。全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)は9月2、3の両日、被災地視察を行い、農民連からは吉川利明事務局長が参加しました。 |
益城町の中心部で倒壊した家屋を視察。本震の震源地はこのすぐ近くです |
同じく大きな被害を出した南阿蘇村でも地割れ、崩れた田んぼがあり、阿蘇の山々には、地震に続いた大雨による土砂崩れのあとがいたるところに残っています。
2日目は熊本市のくわみず病院で熊本地震被災者支援共同センターと視察団の懇談・交流会。
楳本光男共同センター代表(県労連議長)は「熊本はかつての阿蘇山の4回の噴火の火砕流の上に成り立っていて地盤が弱い。地下の水脈にもかなりのダメージがあるだろう。熊本の主産業は観光と農業。農業の多くは山間部。きめ細かく被災者の声を聞かないと、本当の意味での復興はできない」とあいさつしました。
断層のずれにより田んぼの畦が点線の位置から左にずれています |
農地の被害については、「亀裂や段差が生じ6月の大雨でさらに悪化し、畦が崩れるなどしている。復旧の農家負担は5%だが、中山間地ではその負担も難しい。離農を考える人が多く、地域そのものが消滅の危機にある」と指摘。「農家負担に県は何も手を打っていない。熊本市では農家負担の一部補助を検討しているが小さな自治体では難しい」と話します。
「地下にある用水のパイプがどこで壊れているかもわからず、田に水が引けないところが多い。稲が作付けできないので益城では大豆を。大豆が土地に合わない西原村や南阿蘇村ではそばを田んぼでつくっている」
「『地震でできた段差を重機でならしたら石だらけに。とりあえず大豆を植えたが生育が心配』という農家もいる。このままでは米は作れない農地が70ヘクタールもある。基盤整備をもう一度やるには負担が大きい。こうした農家が15年、20年先まで続けろと言われても見通しが立たず、自殺者も出ている」と紹介。
笹渕さんは「営農継続のためにも再建費用はぜひ国の負担で行ってほしい」と要求しています。
視察を受けて吉川事務局長は「今回の熊本震災の農業対策は2年前に関東地域を襲った豪雪被害対策がかなり盛り込まれ、思い切った対策が打ち出されています。農家の実態、要求に基づき、国、県、自治体へ要請を繰り返し、復旧を実現していきたい」と決意を表明しました。
地震による対岸の土砂崩れにより崩落した阿蘇大橋のたもと |
県共同センターは選挙期間に中断していた毎週金曜日の、被災者への支援活動を再開しました。多くのみなさんのご協力をお願いします。 支援物資送り先 〒862‐0950 熊本県熊本市中央区水前寺2‐17‐12 熊本県支援共同センター TEL・ファクス 096(384)6086 金曜日に配布するので、生鮮食品は木曜夕方、あるいは金曜午前着の指定でお願いします。 |
[2016年9月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224
Copyright(c)1998-2016, 農民運動全国連合会