「農民」記事データベース20160912-1229-06

地域の話題
あれこれ

北海道
大澤 稔


台風3個上陸・川の氾濫
田畑に浸水、大きな被害

 今年は北海道に台風が1週間に3個も上陸し、オホーツク海に抜けました。川が氾濫(はんらん)し、田畑が浸水し、大きな被害が出ています。

画像
台風で畑に大きな被害がでました(小清水町)

 その後も天候がよくならず、畑にも入れず、農作業が遅れています。また、玉ねぎなどは水につかるだけでなく、川のそばでは流出するなどの被害がでています。ビート、馬鈴しょは、水につかると腐敗し、収量が減収になることが確実になってきています。

実情つかみ被害対策要望へ

 天候が回復しないと、病害虫の防除ができず、被害の拡大が予測されます。私たち農民連は、行政に対して台風被害対策を要請したいと要望をとりまとめています。全体の被害については、収穫が終わらないと把握できないので、収穫が終わったら要請したいと考えています。

 トラクターが畑に入れないので、ラジコンヘリで防除をしている農家もいます。

転作畑で新しい病害虫発生
早い対策で生産量維持

 なまぐさ黒穂病今年10倍も発生

 いま北海道では、秋小麦になまぐさ黒穂病が発生して、この対策に苦慮しています。なまぐさ黒穂病の発生が、2014、15年は全道で約100ヘクタールの面積だったのが、今年は1000ヘクタールと10倍に拡大しました。「この病原菌のメカニズムがわからないので、今実態を調査している」とは道庁の担当者の話です。

 現在の対応としては、発生したほ場には、秋小麦を作付けすることができないことになっています。水田転作畑では、発生するとそれだけ作付面積が減ることになります。

 ジャガイモシストセンチュウを確認

 馬鈴しょでは昨年、ジャガイモシロシストセンチュウが畑で発生しました。ジャガイモシストセンチュウが45年前に確認されてからまた新しいセンチュウが確認されたことになります。

 対策は、抵抗品種を早く開発すること、ほ場にセンチュウを入れないようにすることです。しかし、強風が吹けば、土と一緒に入ってきます。また、雨で土が流されれば上から下へと流入してきます。さらに、専門の先生が少なく、対策が遅れています。国の研究機関の充実と予算の確保が大事だと思います。

画像
林直樹・小清水町長に対策を求める大澤さん(右から2人目)

 北海道農業守るためTPP批准阻止を

 北海道は、日本の食糧基地といわれ、冷害を克服することに努力し、生産量を上げてきました。北海道の自給率は200%を超える生産をあげていますが、北海道の水田面積の半分以上が転作をし、他の作物に生産が変わっています。

 しかし、それが新しい病害虫を発生させているので、これらに対しても早く対策をとらないと、今の生産量を続けることは困難になると思われます。

 TPPも批准され、締結されると、北海道農業は危うくなるのではないでしょうか。今の畑作は交付金がなければ生産が困難になります。

 北海道農業を守るためにもTPP批准をなんとしても阻止することを、みなさんと力を合わせてがんばりたいと思います。

(新聞「農民」2016.9.12付)
ライン

2016年9月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2016, 農民運動全国連合会