農民連青年部
夏の学習交流会
宮城
農民連青年部は7月30、31の両日、夏の学習交流会を宮城県仙南地域で開催しました。今回のテーマは「攻めの農業のカタチ 大規模小規模どっちが希望?」です。仙台市内の大規模施設園芸法人と亘理町の家族経営果樹園を視察し、今後の地域農業のあり方を考えてほしいと企画しました。
大規模法人と家族経営農家を訪れ
地域を守る農業のあり方を考えた
モモ丸かじりでみんな大満足
初めに仙台市宮城野区にある株式会社みちさきの農場を見学しました。同社では葉物やトマト、イチゴをハウスの中で溶液栽培しています。同社の佐々木洋輔部長が説明を行いました。参加者はハウスの内部のあちこちに目を向けながら説明に聞き入っていました。
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大規模溶液栽培のハウスを見学しました |
続いて訪れたのは亘理町の結城果樹園です。同園の3代目、結城翔太さんが説明を行いました。結城さんは宮城農民連青年部の副部長でもあります。
結城果樹園では3ヘクタールほどの農地でリンゴと桃、さくらんぼを生産しています。結城さんは「おいしい果物をつくるだけではなく、その中で生まれるストーリーを一緒に伝えていきたい」と話します。その実践として、摘果体験で子どもたちに受粉の仕組みや蜂の生態系について説明したり、規格外のリンゴを使ってのシードル作りといった取り組みを紹介しました。視察の最後にはおいしい桃をみんなで丸かじりで大満足です。
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桃が色づく結城さん(右端)の畑で |
蔵王町に移動し、宮城県青年部の平間徹也部長のざおうハーブで懇親会。今回の目玉はフレンチのシェフが作る、地元食材をふんだんに使った料理です。遠刈田温泉の台湾喫茶店店主、佐藤雅宣さんによるお手製の小龍包(しょうろんぽう)と台湾ウーロン茶もふるまわれ、山形・庄内のだだちゃ豆や各地の地酒で大盛り上がり。地元の農家も含めて約50人が集まりました。
地元の農家から報告もうけて
2日目は地元農家の報告とグループディスカッションを行いました。報告したのは大崎市の岩出山でよっちゃん農場を経営する高橋博之・道代夫妻と、角田市の米農家、高橋裕貴さんです。
高橋夫妻はトウガラシの加工品「よっちゃんなんばん」が人気で、たけのこやセリの栽培にも挑戦を始めています。また、地元では「ほっかぶり市」というマルシェも開催し好評です。
高橋裕貴さんは、「お米クリエイター」として、16種類の米を生産する一方、「地元の人をもっと知ってもらい、街に人を呼び込みたい」とイベントのコーディネート等で地域の発信をする農家の6代目です。
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時間を忘れて話し合いました |
それぞれの地域での活動を報告してもらい、6つのグループに分かれてディスカッションを行いました。1日目の視察の感想とともに、自分たちの農業への思いや地域を守るための農業のあり方について、時間いっぱいまで話し合いました。
地域環境への責任は
地産地消すすめれば
情報発信にひと工夫
作物に生産者の情報をのせよう
話し合いの中では「大規模、小規模両方を、実際見ることできたのはよかった」「土に触れない農業に違和感を感じる」「安定供給するために水耕栽培のようなスタイルも必要」といった感想が出されました。
また、「環境への責任が薄い農業は、持続可能ではない農業になってしまう」「農家だけが環境を意識するのではなく、地域の人ももっと意識して、地産地消を進められるようになれば、地域農業を守ることにつながる」「地域のために農業があることが伝われば、農業を取り巻く環境が変わっていくのではないか」という意見がありました。
「作ったものに情報をのせることが大切。農家を売っていくことが必要ではないか」「発信が苦手な農家は得意な人と組んでやるなど工夫が必要」といった販売と情報発信への工夫など様々なことが語られました。
両極端な形態の農業を視察し、多くの地元農家の話を聞き、地域農業のあり方を改めて考えるきっかけとなる、交流会となりました。
(新聞「農民」2016.8.29付)
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