熊本地震その後
県農民連事務局長 笹渕賢吾
国の不十分な助成に批判
毎週野菜など届ける
熊本地震は2カ月半が過ぎ、被災地、被災者は少しずつですが、復興への道を歩み始めています。熊本県農民連の支援活動は梅雨の時期には休みましたが、その後、再開し、毎週金曜日に益城(ましき)町に米、野菜などを届けています。
自宅が全壊し、家に帰れない家族は、体育館などに避難したまま仮設住宅の建設を待っています。申し込んでも、外れた人は避難所暮らしです。仮設住宅は2年間が限度で、その間にどうするかを決めなければなりません。仮設に移った人は、「やっと安心して眠れるところに入ることができた。建て替えをどうするか、ゆっくり考えたい」と話しています。
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仮設住宅前で支援活動を行う熊本県農民連 |
熊本は地震の後に梅雨、その後大雨が続き、土砂災害も各地で発生しました。やっと晴れ間がでてきましたが、真夏日が続き、被災者の健康が心配されます。
今年の米づくりあきらめた農家も
水確保できなくて
農家の米づくりは、地域によって作付けできるところと、できないところがあり、水が確保できるところでは、なるべくつくっています。震源地の益城町はどうなるかと心配でしたが、7月27日に現地に行ってみると、見渡す限り、稲がすくすくと育っていました。
その一方で、西原村は米がつくれず、大豆は土地条件が合わず、ソバを植え付けています。田んぼの事前着工をした菊池市の農民連会員は、田植えをめざしましたが、地割れの高低差がひどく、大雨によって工事部分が崩れ、今年の米づくりをあきらめました。
被災者の立場にたち
全壊した納屋を建て替えるための国の補助金は9割ですが、「今後15年以上農業を継続しなければならない」といった条件や「乗用車など農業以外のことに利用したときには納屋建築の助成の対象にしない」など国の説明が変化し、農家も戸惑い、「国は被災者の立場にたっていない」と批判がでています。
これまで全国の農民連会員のみなさん、新聞「農民」読者のみなさんから支援物資と募金を送っていただき、感謝申し上げます。これからも、農産物を届けるなど、支援を続けていきたいと思いますので、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。
(新聞「農民」2016.8.15付)
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