岩手海区漁業調整委員会選挙
県漁民組合2人が見事当選
サケ刺し網漁
実現できるよう
がんばりたい
岩手海区漁業調整委員会選挙が7月25日告示、8月3日投票で行われました。
「震災後、船はきたのに魚をとれない。浜を民主化しなければ漁師は生きていけない」…岩手県漁民組合では、現職の藏徳平(くらとくへい)さん(県漁民組合組合長、洋野町)に加えて、新たに菅野修一(かんのしゅういち)さん(県漁民組合幹事、陸前高田市)を無所属で擁立し、たたかいました。
対話重ね要求聞き対策訴え
当初、2人とも落とそうとして立候補した県南部の漁協出身候補は、告示日当日に出馬を辞退。定数9人に対して10人が立候補、1人はみ出しの選挙となりました。
前回4年前は定数内立候補のため、無投票で藏さんが当選しました。今回も選挙直前まで、選対会議のたびに「無投票になんねえかなあ」という声が上がっていました。しかし、候補者も選対メンバーも歩いて回るほどに熱を帯びてきました。
藏さんは、周りの漁師700人以上と対話を重ね、政策を訴えるとともに要求を聞いて回りました。地元の洋野町はカゼ(ウニ)の産地。「これまでの漁協の人たちとは違う」と、カゼむきの女性たちからも藏さんは大評判となりました。菅野さんは、選挙カーも仕立てて、音を出しながら県南沿岸部でこまめに宣伝。高齢の漁師から「お前たちみたいなやつが出ないと変わらない。がんばれ」と声をかけられるなど、対話が広がりました。民主商工会と日本共産党の応援も受け、行く先々でうわさになるほど注目を集めました。
前にも増して元気に力強く
盛り上がりの中で迎えた投票日、藏さんは8位、菅野さんは5位で見事当選。知らせを受けて、両候補の選対は喜びの声であふれました。藏さんは「おかげさまでみんなの力で取れました。サケ刺し網漁を実現させるようがんばります」と感謝を表明。菅野さんは「浜の思いが一つになった。これがスタートライン。一生懸命やりたい」と述べました。
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海区漁業調整委員会選挙の勝利を喜ぶ関係者ら。前列右から4人目が菅野さん、その左が藏さん=8月5日、盛岡市 |
菅野さんの選対本部長をつとめた瀧澤英喜さん(県漁民組合副会長)は「裁判も起こして、選挙もとれて。どんどん実現していくのがうれしいねえ。1週間、海に出らんなかったけど」と喜びます。明るく楽しい選挙戦で、漁民組合は前にも増して元気に力強くなりました。対話を通して、私営魚市場の運営や、来年で期限を迎える国の「がんばる漁業」制度の問題など、新たな課題もみえてきました。浜のたたかいは続きます。
(岩手県農民連 岡田現三)
(新聞「農民」2016.8.15付)
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