「農民」記事データベース20160808-1225-03

シイタケ原木の不足・高騰深刻

個人生産者にも良質原木供給を


農民連が林野庁に要請

画像  シイタケ原木が全国的に不足し、価格が高騰している問題で、農民連は7月27日、林野庁に安定供給対策を求める要請を行いました。要請には大阪、和歌山、奈良、宮城の各府県の原木シイタケ生産者や事務局などが参加しました。

 福島第一原発事故以降、西日本の原木シイタケ生産者は、長年使ってきた福島県産原木から大分や熊本の原木に切り替え、樹種の違いによる生産技術を克服しながら経営を続けてきました。しかし原木の不足と価格高騰は昨年を上回る深刻な状況です。奈良の生産者は、「原発事故前は180円程度だったが、今年は250円だった。しかし正直、100円でも欲しくないと思うほど品質が悪い。シイタケの収量も当然、下がってしまう」と言います。

 和歌山の生産者は、「去年より今年はさらに高く、1本350円で仕入れた。せめて去年並み(320円)にならないかと頼んだが、業者も『他県の単価にあわせないと原木が入ってこない』と言う」と訴えました。

 また、国による価格高騰分の半額補助制度に加えて、県や自治体によって上乗せ補助する事例もあり、全国的にシイタケ生産者の原木の購買力には大きな差ができてしまっています。さらにこうした購買力の差を背景として、関東地方の森連(森林組合連合会)などが厳しい規格や納期で有利に、また大量に九州の森林組合から買い付けていくため、個人や小グループのシイタケ生産者にはより品質が悪い原木が届く傾向があります。

 納期の遅れも多くの生産者に共通の悩みです。参加者は「納品が年度末を過ぎると国の半額補助も受けられない。納品が4月以降になっても補助を受けられるよう、制度の運用を見直してほしい」と、要望しました。

 林野庁は、「原木不足が深刻なことは認識している。九州には原木向きの広葉樹はあるが、切り出す人がいないので、この問題を解決したい。また九州以外にも資源がないか調査している」と述べ、生産者の意見を傾聴。半額補助制度についても、「来年度も継続を要求していきたいと考えている。4月以降の納品分も補助対象とする件については、予算制度の関係上、繰り越しは難しいのが実情だが、お聞きした実態をしっかりと受け止めていきたい」と、回答しました。

(新聞「農民」2016.8.8付)
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2016年8月

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