「農民」記事データベース20160808-1225-02

農民連が東電本社と交渉

損害賠償の打ち切りやめろ

「増収したら賠償しない」は撤回を


 農民連は7月27日、福島第一原発事故の損害賠償について、東京電力本社と交渉を行いました。交渉には宮城、山形、栃木、茨城、埼玉、千葉の代表者のほか関西の原木シイタケ生産者など20人が参加しました。

 今回は、東電が2013年4月以降の福島県以外の風評被害の賠償を拒否している問題や、同年以降、多くの組織で検査費用が賠償拒否されている問題を中心に、東電側にただしました。

 なかでも原子力損害賠償紛争審査会「中間指針」の第3次追補で、「有機農産物等の特別な栽培方法等により生産された産品は、通常のものに比べて品質、安全等の価値を付して販売されているという特徴があることから、風評被害を受けやす(い)ことなどに留意すべき」とされていることを、東電はどう認識しているのか、回答を求めました。

 宮城県丸森町では、2014年からタケノコの出荷制限が解除されましたが、県などの指導で65ベクレル以上のものは廃棄されています。ところが東電はこの廃棄分の損害を賠償拒否。なかには、不作の年にたまたま豊作だったある生産者が、相場が高かったこともあって増収となりましたが、「事故前より増収になっており、逸失利益はない」(東電)と、実害として4割も出ている廃棄分の賠償も拒否するというひどい事例もあります。

 こうした事例について東電は、「『中間指針』にのっとって、基本的に事故前より減収となった場合に賠償する。増収したら風評被害は回復しているということであり、賠償しない」と明言。

 参加者からは、「まったく納得できない。放射能汚染がなければ売れたはずのものが汚染で売れなかった、これは実害ではないか」「私たちは東電に所得補償してほしいのではない。損害を賠償すべきと言っているのだ」などの声が続出しました。

 また13年以降の分析費用の賠償拒否が相次いでいることについて、「風評被害は続いており、出荷先から必ず検査するように言われている」「私たちの産直運動は安全・安心で成り立っている。検査は風評被害を防ぐもっとも効果的な手法なのに、なぜ賠償を拒否するのか」などの声が出ましたが、東電は明確な回答をしませんでした。

 農民連は重ねて、8月10日までに文書で明確に回答するよう東電に求めました。

(新聞「農民」2016.8.8付)
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2016年8月

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