安心・安全な食料求め
有機無農薬で野菜作り
就農2年目を迎える
松丸 融弘(ゆうこう)さん(22)=埼玉・小川町
お客さんが喜ぶ顔が何より
“農業がいいぞ”と父親からの勧めに
埼玉県小川町で新規就農した松丸融弘さん(22)は就農2年目を迎えています。2ヘクタールほどの畑で有機無農薬栽培の野菜を生産しています。小松菜やカブなどを中心に20品目ほどを栽培中です。
生まれは東京ですが、子ども時代は三宅島で過ごしていた松丸さん。噴火で東京、府中に避難し府中の農業高校を卒業しました。「都会育ちだったので、いなか暮らしが非常に楽しかった。父親の『これからは農業がいいぞ』との勧めもあり、農業高校に進学しました」といきさつを話します。
高校卒業後は小川町の農家で研修をうけ、2015年の1月から就農しました。16年3月には小川町の空き家バンク制度を利用して住居も確保しました。地元スーパーやJAの直売所に出荷するとともに、15年11月からは埼玉産直協同にも出荷し、農民連にも加入しました。
「1からのスタートだったので資材を集めることや、その保管場所の確保と出荷調整の場所を確保することに苦労をしました。資金も必要でした」と語る松丸さん。無農薬栽培を選んだきっかけには農民連食品分析センターもかかわっていました。「もともと農薬というもの自体を知らず、高校に入ってから初めて知りました。中学3年生の時に中国産冷凍ホウレンソウから残留農薬を検出した事件が起こり、信用を失うと取り戻すことは大変だと知りました。また体の中に入れる食料なので、安全、安心が求められていると感じ、有機無農薬栽培を選びました」と話します。
両親と弟と一緒に地域支える農家に
耕作が放棄されていた畑をかりたので、どうしても土地がやせています。そこで松丸さんは「まずは土中の微生物を増やすために、堆肥を多めに入れています。毎年土壌分析を行い、鶏ふんなどの施肥設計をしています」と自らの取り組みを紹介します。
農業の魅力をたずねると、「まいた種が発芽する瞬間はすごくうれしいですね。また直売所ではいいものつくって出すと、お客もついてくれます。お客さんから『ちょうど待っていた』『やわらかくておいしいから待っていた』などと声をかけてくれるお客さんもいて、お客さんが喜んでくれるのが農業をやっている一番の喜びだと思います」と笑顔をみせます。
両親と弟も引っ越してきて、ともに農業に取り組み始めた松丸さん一家。これからの地域を支える農家として一歩を踏み出しています。
(新聞「農民」2016.7.25付)
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