ビア・カンペシーナ東南・東アジア地域女性会議
持続可能な農業の実現を
農民連女性部副部長奈良県農民連
武田 れい子
銃を向けられながら土地の分配求めて…
たたかうフィリピンの女性たち
ビア・カンペシーナの東南・東アジア地域会議に併せて行われた女性会議(5月29日)に参加しました。
投獄されたら子の面倒は誰が
会議は、マニラ近郊の中山間地で開催しました。女性会議での議論は衝撃的なものでした。
農地からの強制退去とたたかうフィリピンのケソン、バターン両州の女性たち12人の告発を聞きました。女性たちはみな母親で、子どもは5人、12人、6人、4人、6人…。「私が投獄されたら、子どもの面倒は誰がみるのでしょう。食料と人権は私たちの権利です。5つの自治体に広がる土地の権利を、たった4人の地主が牛耳り、立ち退きを求めています。村全体が有刺鉄線で囲まれればそれを切り、時には銃を向けられながら、土地の分配を求めてたたかっています」と、言います。
政府の農地改革の完全実施を求めてたたかっていますが、電力会社の利権もからんで解決の見通しが立たないようでした。私には沖縄や農地法の改悪などとオーバーラップしました。
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土づくりの実演学習 |
各組織の研修や教育を話し合い
グループ討議では、女性への暴力や、女性農民の研修や教育などについて話し合いました。
●台湾の若い女性「農地を相続できず、他の土地を借地して米作りをしている」
●韓国「種を守る運動が、消費者との信頼関係を築き、遺伝子組み換え反対運動や食糧主権、アグロエコロジー(農薬や化学肥料に頼らない、自然と共生する農業)の確立に結びついている」
●インドネシア「ジェンダーの視点を取りいれ、女性の研修をしている。アグロエコロジーの実践で肥料作りも」
●マレーシア「収入アップの訓練をしているので、女性は男性より生産性が高くなっている。先住民の権利向上の活動もしている」
●カンボジア「女性の能力向上、販売支援、文化的支援を通じた女性の指導者育成が重要」
●タイ「軍事政権は、大干ばつでも大企業を優先し、農家に水を使わせない。米を作らせないから離農する。女性の権利が侵害され、暴力にさらされている」
日本からは、慰安婦問題などジュネーブでの国連女性差別撤廃委員会(今年3月)に向けた取り組みについて文書報告したほか、TPPや戦争法など安倍政権の悪政とのたたかい、学校給食への出荷と食育を結びつけた奈良での生産を守る運動などを報告しました。
未来は多国籍企業のものではない
「小農民の権利宣言」を武器に
来年に向けた方針として、(1)ジェンダー平等の確保、(2)女性への暴力をやめさせるキャンペーンの継続、(3)地域をつなげた連帯活動などが決められました。行動計画の中にはTPPに反対することも含まれています。
女性会議のスローガンとなった「持続可能な農業の実現」では、アグロエコロジーの実践が各国で進みつつあることに、希望を感じました。
「未来は一部の多国籍企業のものではない」というのは、それぞれの地に踏ん張って生きる人々に共通の思いです。今後、国連で策定される予定の「小農民の権利宣言」も、私たちのたたかいの武器として生かせそうです。
(新聞「農民」2016.7.25付)
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