GMナタネ自生調査報告会開く
青森から福岡 12府県で80も検出
各地の調査団体が実態リアルに報告
有機農業の新規就農ふえ
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンと「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク」は7月2日、東京都大田区で、2016年GM(遺伝子組み換え)ナタネ自生調査全国報告会を開きました。
地域から考える
コモンズ代表、アジア太平洋資料センター(PARC)共同代表の大江正章さんが「地域から遺伝子組み換え作物を考える―脱成長と田園回帰」のテーマで講演しました。
「都市住民の農山漁村地域への定住願望が進んでいる」とし、とくに20〜40歳代の男性、30〜40歳代の女性に増えていることを紹介。その意識も「拡大・成長ではなく、生活の豊かさや質的充実が実現されるような政策や地域社会を実現していくことをめざしている」と述べました。
さらに有機農業への新規就農が増え、研修受け入れ体制の充実や受け入れ農家の存在も、就農に拍車をかけていること、大豆トラストや直売・朝市など販路と収入の確保も充実してきていることを語りました。
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報告する(右から)天笠、大江、河田、八田の各氏 |
6団体から報告
あいコープみやぎ、なのはな生協、生活クラブ生協、コープ自然派、グリーンコープ生協、遺伝子組換え食品を考える中部の会の各調査団体から結果報告があり、引き続き、各地で広がっている実態が明らかになりました。
今回検出された府県は、青森(LL1)、茨城(RR1、LL4、両耐性1)、埼玉(LL1)、千葉(RR10、LL8)、神奈川(LL4)、山梨(RR1、LL1)、静岡(RR2、LL1)、愛知(LL3)、京都(LL1)、兵庫(RR4、LL8)、岡山(RR2、LL2)、福岡(RR7、LL18)で、GMナタネ検出の合計は80(RR27、LL52、両耐性1)でした。(全て一次検査のみ)
行政にGM生物の規制させよう
食農市民ネット共同代表の河田昌東さんから、ナタネと他のアブラナ科植物が交雑した雑種について、「雑種の花には花粉がほとんどない」ことを発見し、「花粉の有無で雑種かどうかの判定は可能だ」と述べました。
農民連食品分析センターの八田純人所長は、GMナタネの判定試験を行う試験紙について報告。「感度を保つためにも乾燥したところに置くなど保管状態を万全に」と注意を喚起しました。
最後に、食農市民ネットの天笠啓祐共同代表が、「調査結果をもって行政に働きかけ、遺伝子組み換え生物への規制をとらせよう」と呼びかけました。
※RR=除草剤ラウンドアップをまいても枯れないもの、LL=除草剤バスタをまいても枯れないもの、両耐性=両方の除草剤をまいても枯れないもの
(新聞「農民」2016.7.25付)
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