参議院選挙の結果について
2016年7月12日
農民運動全国連合会会長 白石 淳一
一、7月10日投開票された第24回参議院選挙は、32の1人区の全てで野党4党が統一候補を擁立して、戦争法廃止、TPPなど安倍政権の暴走ストップを掲げてたたかった、戦後はじめての歴史的な選挙でした。農民連は、野党統一候補の勝利を呼びかけ、1人区の県連は候補者を推薦・支持して大奮闘しました。
一、青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、山梨、長野、三重、大分、沖縄の11選挙区で統一候補が勝利しました。2013年(1人区=31)の参院選で野党はわずか2議席だったのを、今回は野党共闘の力を発揮して11議席を獲得し、次につながる大きな成果を収めました。
とりわけ、辺野古新基地建設問題が争点となった沖縄選挙区で、島尻安伊子沖縄・北方担当相に10万票以上の大差をつけてイハ洋一候補が勝利しました。また原発事故に苦しむ福島選挙区で増子輝彦統一候補が、岩城光英法相に競り勝ったことは、沖縄・福島の民意の現れでした。
今度の選挙は、TPPや低米価、農協改革などへの反発から、多くの県農政連が自民党推薦を見送るなど、政府与党と農民や農業団体との矛盾が深化するなかでのたたかいでした。これまで自民党を支えてきた有力な方々が野党支持を表明するなど、劇的変化が各地で生まれ、東北5県と長野、新潟選挙区などでの勝利に結びつきました。日本共産党が改選議席を倍増させたこととあわせて、TPPの国会批准を阻止するたたかいの足場をつくりました。
一、選挙戦で安倍首相は、「アベノミクスが大争点」だとし、都合の良い経済指標を並べた自慢話と野党共闘攻撃に終始し、大争点に浮上した憲法9条改定には一切ふれないまま選挙戦をやりすごしました。
選挙の結果、与党は改選過半数を上回る70を獲得し、改憲勢力が3分の2以上の議席を獲得しましたが、国民は改憲への「白紙委任」を決して与えたわけではありません。もし改憲派が「憲法9条に手を付ける」ならば、国民との矛盾はさらに広がり、もっと大きな国民運動が起こることはまちがいありません。
与党が多数を維持した結果、TPP批准や改憲策動などへの一層の警戒が必要です。農民連は、草の根からの大反撃で安倍政権を打倒するために断固たたかう決意です。
(新聞「農民」2016.7.25付)
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