農民連
野党統一候補の勝利に貢献
7月10日に行われた参議院選挙で、野党統一候補が全国32の1人区中11選挙区で勝利しました。各県の農民連は統一候補を推薦、支持して勝利に貢献しました。選挙戦での各県農民連の取り組みや会員の奮闘手記を紹介します。
農作業最盛期のなかで
忙しいといっておれない
地域農協と真剣に話し合い
長野 対話を、支持拡大を
県農民連事務局長
宮沢 国夫さん
長野県選挙区は、自民現職を打ち破って野党統一候補の新人、杉尾秀哉氏(民進党)が勝利しました。杉尾氏は、県内77市町村のうち59市町村(76・6%)、浮動層の多い都市部でも19市のうち17市でトップで、支持なし層の6割から支持を得ました。
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当選を喜ぶ杉尾さん(右から3人目) |
自民党は長野を全国の重点区の一つに位置づけ、公示前までトレーラーに自民党候補者のポスターを貼って運行する運送会社など過去に例のない状況があり、安倍首相が3回、小泉進次郎農林部会長、稲田朋美政調会長が複数回、そのほか幹事長や多くの大臣が連日県内入りをしました。
戦争法・TPPに危惧や怒り広がる
今回の参議院選挙は、「立憲主義守れ!」「TPP阻止! 安倍政権の暴走を止めよう」と軽トラ110台でパレードをした北安曇地域の取り組みにみられるように、戦争法やTPPに対する危惧や怒りが広がるなか、野党が統一し、市民団体の大きな共同が基盤になった選挙戦で、長野県農民連も組織を挙げて取り組みました。
農作業の最も忙しい中でも、その合間を縫い、作業の段取りを工夫して時間を作るなど、農民連会員の並々ならぬ努力と奮闘により、投票率が全国1位(62・86%)という激戦の中で勝利に貢献しました。
県農協中央会は、今回は自主投票にしました。こうした県中央会の決定とも相まって、この間TPPで共同の取り組みをしてきた県内各地の農民連組織と地域農協との間で選挙に関する申し入れ、懇談が行われてきました。この懇談で、「自民党候補と杉尾氏の両方を推薦するが、どちらのポスターも貼らない」「農政連役員に新聞『農民』号外を配布する」という組合長など真剣な話し合いの場が作られ、大きな変化が生まれました。
広げてきた共同で市民運動一層強め
組合員も対話し支持を広げる活動で奮闘しました。果樹農家にとって一番忙しい時期、「何とか時間を割いて、1時間は知人などに支持を訴えてきた」という組合員、セロリの出荷最盛期で、毎朝夜明け前から収穫し、出荷に追われる毎日ですが「今度はやらなければ。忙しいとばかり言っていられない」と20人の対話目標をもって、投票日前までに目標をやりきり、さらに対話を広げた組合役員。地域のポスティング(ビラ配布)ならできると連日行動した組合員など県下各地で活動をしてきました。
改憲勢力が3分の2を占めた国会ですが、私たちが送り出した国会議員と国会の内外、特に地元長野でスクラムを組み、これまで広げてきた幅広い市民との共同で改憲阻止、TPP阻止の取り組みを一層強めていかねばと肝に銘じています。
安倍政権に任せておいたら
農業はつぶされてしまう
原発も民意無視して推進
福島 仲間と知人に声かけ
須賀川農民連
有馬勝三さん(59)
参院選福島選挙区では、野党統一候補の増子輝彦さんが激戦のなか、現職大臣を打ち破って勝利しました。
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市民・野党代表と並ぶ増子さん(左から3人目) |
今回、須賀川農民連は、公示日から丹治実会長を先頭に、会員への声かけを役員中心に行ってきました。
私自身の選挙活動は、中学校からの仲間数十人で結成している「三二の会」、つまり昭和三十二年生まれの仲間の会への働きかけです。
会を結成して数十年の気の合った者同士で、「自民党に任せておいたら、TPP批准、原発推進政策が民意を無視して進められ、東電の損害賠償打ち切りも許してしまう」などと、集まるたびに安倍政権の問題点を話し合いました。
今回は、何としても増子さんを勝利させようと、仲間たちと行動し、知人らを対象に幅広く働きかけてきました。
「安倍さんに任せておいたら、農業はつぶされる。TPP批准も強引に進められてしまう」と粘り強く訴えた結果、増子さんが勝利しました。私たちの応援の結果ではないでしょうか。
物つくってこそ農民“今後もがんばっぺ”
今後、増子さんに損害賠償やTPP批准阻止などに取り組んでもらうよう願いを込めて、開票日の夜、仲間十数人を集めて祝勝会をやり、「今回もやはり声かけが大事だったね」などと話し合いました。
最後は、仲間同士で「われわれはものをつくってこそ農民。今後もがんばっぺ」と誓い合って祝勝会を終了しました。
(新聞「農民」2016.7.25付)
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