「農民」記事データベース20160718-1222-03

東京都知事選

都市農業を守る重要な転機に


基本計画
全国の粘り強い住民運動で
都市農業の位置づけを転換

 申請率は50%超

 2015年に都市農業振興基本法が超党派で成立したのを受け、政府は、5月に都市農業振興基本計画を閣議決定しました。

 この基本計画には、都市の農地は「優先的かつ計画的に市街化を図るべき」(都市計画法7条2項)ものから、「あって当たり前のもの」、さらには「あるべきもの」と大きく転換しました。

 都市農業の位置づけを、ここまで転換させた一つに、都市農業を守るための「宅地並み課税反対」をはじめとする全国的な粘り強い運動がありました。

 とりわけ東京都では、1991年(平成3年)の「生産緑地法」改正によって生産緑地の申請率が50%を超えました。この申請は、30年の営農継続を条件に「農地課税」としたことから、一人一人の農民に30年の営農継続の判断が迫られ、全国的には30%台にとどまりましたが、東京都の高い申請率は、運動を励ましました。

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都市のなかの貴重な農地(東京都練馬区)

 その後、東京都は、追加申請も受けつけるなど、「農のあるまちづくり運動」を都市住民と一体的に進め、現在では、全国の生産緑地面積の4分の1を占め、都市農業を守る大きな役割を担っています。

生産緑地
地域住民と一体的に進んだ
“農のあるまちづくり運動”

 地域住民と一体となって守っている東京の農地も、この10年間に2割の約1000ヘクタール減りました。その原因は、相続税や固定資産税など、農地を保有するための税制によるものです。

 基本計画では、都市農業の安定的継続のためには「税制措置が適切に講じられることが重要である」と指摘し、「その保有にかかる税負担の在り方を検討する」としています。

 しかし、この検討に疑問を感じる議論が、国会で行われました。

 4月5日の衆議院財務金融委員会で、日本共産党の宮本徹衆院議員による「農業用施設用地の課税」についての質問に対して、麻生財務大臣が、「納屋等も課税の対象にすべき……、行ってみたら納屋に外車が止まっていたり、難しいんですよ」と答弁しました。

 この答弁は、基本計画で「一定期間の農業継続と農地としての管理・保全が担保されることが明確なものに限り」と強調していることに反するのではないでしょうか。

 管理料として無料に

 農民連は、この条件に適う生産緑地の固定資産税は、「公益性」の観点から、「緑地管理料として無税とする」ことを要求しています。さらに、農業用施設用地について、麻生大臣は「難しい」といいますが、現場をみて現状を把握し、農業に供している施設は「農業用施設用地としての課税にすべき」です。

 今度の知事選挙(7月31日投票)は、貴重な農地を守るうえでも、都市農業振興基本計画を実践できる知事を選ぶうえでも大事な選挙です。

(新聞「農民」2016.7.18付)
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2016年7月

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