地域の話題あれこれ
福島県 根本 敬
あきらめない、できることをやる
青年 原発事故後の放棄田を作付け
守り隊メンバー農業研修の青年
福島県二本松市東和地区貝作。草刈り機のエンジン音が山深い沢に響く。6月25日、「貝作棚田を守り隊」のメンバー5人が畔の草刈り作業。電気柵が畔に張り巡らされている。その間を刈る作業は神経を使う。
この隊の責任者は、安達地方農民連会長の佐藤佐市さん。メンバーの多くが佐藤会長のもとで農業研修を行っている「青年」たちだ。貝作の棚田は、原発事故以降、水田作付けを放棄する農家が続出。放置される水田をどうにかしたいと立ち上がったのがこの青年たちだ。そして「貝作棚田を守り隊」を2014年に結成。当初10アールから作付けをはじめ現在2倍の20アールまで拡大している。
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貝作棚田を守り隊のメンバー。左が佐藤さん |
研修生にとって「米」は貴重な食料。「自分で作って自分で食べる分を確保できることの喜びを実感できる」とメンバーは口をそろえる。
貝作地区の水田面積は、3ヘクタール。メンバーの水田を含め作付けされているのは70アール。電気柵周辺の草刈りを怠り、イノシシに食い荒らされ、米を収獲せずに放置され、今年の作付けを断念した農家もある。
経験のない者がやるのがいいな
青年たちの草刈りは、まあ上手とは言えない。
「ちゃんと教えないの」「まあ、そのうちおぼえっぺ。ここを維持していくことは、そうたやすいことではない。でも、あきらめて何もしなくなったらもっとみじめだ。できることをやる。それもあまり経験のない若者たちがやる。これがいいんだな」と佐藤さんはつぶやいた。
(新聞「農民」2016.7.11付)
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