暴走する安倍政権に審判を
農政転換し農業・地域守りたい
大分・下郷農協組合長
矢崎 和廣
参議院選挙が公示されました。
いよいよ国民が政治に参加する唯一の手段である選挙が行われます。
公約を平気で破る
「TPPは断固反対」「消費税増税は必ずやります」などと掲げた公約は平気で破り、「戦争法」は強行採決するという国民無視の暴走です。
特に、農業・農協を巡っては今回の選挙で安倍農政を転換させなければ、日本の農業は崩壊し、地域がなくなるかもしれないことを、しっかりと認識しなければならないと思います。
政府の要求に従う
TPPに関しては、この間、農協組織が反対運動の先頭に立って頑張ってきました。
しかし、政府は「TPP反対運動封じ」のために60年ぶりに農協法改正に踏み込みました。中でも「全中監査の廃止」と「准組合員規制」は農協経営に関わる影響が大きく、JA全中は「准組合員規制は結論を先延ばし」という条件で政府の要求に従いました。
なぜTPPに反対する農協潰しの「農協法改正」と闘わなかったのか。「農協は要らない」とまで言う政府と巨大な組織である農協が闘おうとしないのか。私には理解できません。
それどころか、全中の奥野長衛会長はTPP反対集会や国会前行動を「時代遅れだ」と言い、「話し合いの中で勝ち取るところは勝ち取るという、利口な手段が今は大事だ」と言いました。
なぜ熊本の組合長を
TPP推進の自民党から
立候補させるのか
長い物には巻かれよ
TPP交渉は妥結し、農協法は改正され、今後5年間は准組合員規制におびえ、政府の顔色ばかり見ながら農協事業を進めることのどこが「時代の先端のやり方」なのか怒りさえ覚えます。
その上、この参院選では熊本の農協組合長が農協組織の代表として比例で立候補しましたが、自民党公認です。
全中を中心とした中央の偉い幹部の皆さんは「与党から出ることが大事で、与党でないとやりたいことができない」と言います。
どれだけ農協がバカにされても、農協潰しが進められても、「長い物には巻かれよ」精神です。
そもそも農協は何のためにあるのでしょうか。組合員の皆さんに現状の矛盾を説明できません。
TPP撤退の決議を
私は、小さくても一つの農協として、協同組合として、主人公である組合員にきちんと説明ができる行動をとりたいと思います。
今年は総会でのTPPに関する特別決議も各農協には指示がなく、やらない状況ですが、下郷農協はしっかりと第68回通常総会で「TPP協定からの撤退を求める特別決議」を提案します。
若者をはじめ、国民、そして野党の共闘・協同もかつてない状況が見られます。
何としてもこの選挙で暴走する安倍政権に審判を下し、農業、そして地域を守りたいと思います。
(新聞「農民」2016.7.4付)
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