「農民」記事データベース20160704-1220-01

TPP・米価・農協改革…

参院選で安倍政権ノーの審判を

関連/アメリカはますます「不透明」


どの党が農業を守るのか

 各政党の参院選公約が出そろいました。選挙の論戦の中で、TPP、米対策、農協改革をめぐって、どの党が農業を守り、どの党が農業をつぶすのかが浮き彫りになっています。

 今回の選挙の大きな特徴は、全国32の「1人区」すべてで野党と市民・国民の共闘が成立し、与野党激突の情勢となっていること。

 TPP葬り去る絶好のチャンス

 TPP交渉が妥結して初めての国政選挙。それだけに、参議院選挙はTPPに対する重大な審判の機会です。

 公明、おおさか維新はTPPの「早期」承認を公言し、さらに「東アジア地域包括的経済連携」(RCEP)、日EU、日中韓FTAの推進をうたうなど、イケイケドンドン。「TPP断固反対。うそつかない」の公約違反に対する批判が集中している自民党は、表向き控えめですが、この党こそ「TPP断固推進。大うそつき」の本家本元。

 民進・共産・社民・生活の野党4党は「TPP押しつけ反対」を共通政策に掲げ、とくに共産党は「TPP断固反対。国民の審判で葬りさろう」と呼びかけています。

 74%がTPP「納得できない」

 日本農業新聞の農政モニター調査では、TPPについて「十分な説明で理解が深まった」がわずか2・5%、「不安はあるが、理解は深まった」(22・5%)と合わせて4分の1。一方、「説明が不十分で納得できない」が4分の3にのぼっています。

 野党の共通政策と農業・農協関係者の大多数の思いは深く共鳴しています。

 アメリカの承認はきわめてあやしくなっています(下のカコミ記事)。参院選の審判と世界の流れがかみあえば、TPPは葬ることができます。

 米対策と農協「改革」では

 自・公は、米価暴落には全く触れずに、2018年からの生産調整廃止、戸別所得補償の完全打ち切り、収入保険制度の導入を強調。これでは米価暴落にますます拍車がかかります。

 民進党は戸別所得補償の復活と法制化を強調しています。

 共産党は米価暴落を野放しにする生産調整廃止に反対、戸別所得補償の復活、さらに抜本対策として「不足払い制度」創設を提案しています。

 農協改革については、詳しくは表をご覧いただくとして、おおさか維新が、農協法を再改悪して、単位農協からの金融部門の分離と株式会社化、准組合員規制、独占禁止法の適用除外廃止など、農協の息の根を止める提案をしていることを強調しておきます。

 内閣不支持6割安倍農政ノー66%

 農政モニターの調査結果で目立つのは内閣不支持率(59%)と、安倍農政に対する拒否感(66%)の高さです。

 内閣不支持率はTPP妥結直後の昨年10月には59%でした。いずれも、国民全体を対象にした世論調査の結果とは、支持・不支持の比率が正反対です。

 この結果は、政党への投票動向とはかけ離れています。

 しかし「今回の選挙ほど農業者の意思表示が問われ、今後の政局に大きな影響を与えるケースはない」(日本農業新聞論説、6月23日)。どの党が本当の農業の守り手なのか、TPP阻止を託せるのはどの党なのかを話し合い、安倍政権にノーの審判を下すときです。


TPP承認国はゼロ

アメリカはますます「不透明」

 TPPの国内承認手続きが完了した国はまだゼロ。年内承認はせいぜい3カ国程度――日本政府によると、各国の承認は大幅に遅れています。

 TPPは、12カ国中、国内総生産(GDP)が85%以上を占める6カ国が承認しなければ失効、つまり消えてなくなります。

 GDPの60%を占めるアメリカでは、クリントン大統領候補が「米国の利益にならない貿易協定を再交渉する」「TPPのような協定は拒否すべきだ」と明言し、トランプ候補は「バカげたTPPはゴミ箱に放り込む」と猛反対。

 交渉をごり押ししたフロマン通商代表は「年内のTPPの議会通過は難しい。年を越せば承認がいつになるか不透明になる」と言い出しました。しかも驚いたことに、アメリカがTPP法案作成に着手したのは6月で、「作業は今後数カ月続く」(フロマン氏)。

 安倍政権が国会に法案を提出したのは3月でしたが、アメリカは法案さえ提出していなかったのです。アメリカでますます高まるTPP反対の世論と運動の結果です。

 JAグループを口汚くののしりTPPを推進してきた農水省OBはアメリカで、「TPP承認は来年以降も不可能ではないかという悲観論が漂っている」と告白しています。

(新聞「農民」2016.7.4付)
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2016年7月

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