「農民」記事データベース20160620-1218-16

地域おこしと
交流の拠点オープン

ささき牧場カフェ(福島市)

 福島市の西部、佐原(さばら)地区に地域おこしと交流の拠点が誕生しました。この地で30年、牛乳づくりを続けてきた、ささき牧場にカフェがオープン。5月28日の開店記念日は、訪れる人が後を絶たず、搾りたての牛乳をたっぷり使ったソフトクリームを味わう家族連れ、親子連れで大にぎわいでした。


農業と人のつながりで
新しい運動の発展を

 おしゃれなお店 花屋さんのよう

 カフェは、県内屈指の観光名所、あづま総合運動公園のすぐそばにあります。

 公園のバラを見に来たという鈴木ハル子さん(66)=郡山市=は「お店の前にお花がいっぱい飾ってあるから、お花屋さんかと思って来たの。そうしたらおしゃれなカフェで今日オープンだって。おいしいソフトクリームを食べられてラッキーでした」と笑顔いっぱいでした。

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オープンを祝ってたくさんの花束が贈られました

 「この地域で牧場をおこし、子牛1頭から始めて57年、ささき牛乳をつくり始めてから30年。低温殺菌で安全、新鮮な牛乳を地域に届けてきました。この取り組みをさらに発展させて、今度は地域の住民の総意と参加で、地域農業を考える方向を模索していきたい。カフェがその拠点になれればと考えています。新たに第2のスタートをきることができました」

 農民連前会長の佐々木健三さん(75)は感慨深げに語ります。地域から農協支所もなくなり、高齢化も進むなか、住民が気軽に集い、農業振興を実践する場所が必要でした。

新鮮牛乳とワサビの
ソフトクリームを販売

 地域を元気に 若者にも期待を

 すっきりとした味わいのソフトクリームのメニューは、ささき牛乳ソフトクリーム、ワサビいっぱいの吾妻わさびソフトクリーム、牛乳わさびミックスソフトクリームがあり、コーンかカップに載せて食べられます。自慢のわさびソフトクリームは、ワサビがピリッと効いた逸品です。

 2年前に結成された佐原わさび生産組合の佐藤栄一組合長もカフェのにぎわいに目を細めます。「地元のワサビを使ってもらって、地域で役立っていると喜んでいます。小規模ながらも、自分たちで考えながら栽培を続け、地域を元気にする取り組みをしていけば、若い人たちにも農業をつなげていけるのではと期待しています」

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たくさんの人でにぎわう店内

 健三さんの長男で牧場を経営する光洋さん(47)は、「ささき牛乳を飲んでいる人たちにも、この場所に牧場があることへの意義を感じてもらえればと思います。震災後はとくにそのことを意識しています。牧場のもつ可能性を発信していく拠点にしていきたい」と展望します。

 市内に住む主婦(63)はカフェのオープンを心待ちにしていました。「震災・原発事故後は、外に出る機会も減り、隣近所の交流も少なくなりました。お店を開いてくれて、食べたり飲んだりするだけでなく、みんなで顔を合わせて、語り合ったり笑いあったりできる場所ができました」と喜びます。

 農民連の仲間の発言聞いて決意

 健三さんの長女、國府田(こうだ)純さん(48)がカフェの店長です。24年務めてきた教師を辞しての、新たな挑戦です。

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開店記念の花束を受け取る純さん(右)

 純さんは、昨年1月の農民連全国大会(東京都大田区)に、病気をおして車いすで参加した健三さんの介助者として3日間の全日程出席しました。

 大会で、全国の農民連の仲間の発言を聞いて、「父がやりたいこと、農民連がめざしていることがよくわかりました。私がやりたかったこととぴったり。人とのつながりを大事にし、農業、地域、教育を結びつけ、新しい農民運動の形を発展させていきたい」と決意しました。

 「ささき牛乳をたくさんの人に知ってほしいとの思いで、迷いなく引き受けました。農業・食育体験などのイベントをたくさん開き、子どもたちの笑顔あふれるお店にしたい」。夢が大きく膨らみます。


ささき牧場カフェ

 定休日 火曜日
 開店時間 午前10時〜午後5時
 福島市佐原字川久保15の1
 TEL 024(573)7343、FAX 024(573)7420

(新聞「農民」2016.6.20付)
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2016年6月

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