「種たねが危ない2」シンポ
種の現状を専門家が報告
――TPP破たんさせよう
スローアグリカルチャー研究会と九条を守る神奈川高校教職員の会は5月4日、東京・大田区民センターでシンポジウム「種たねが危ない2」を開き、3人の専門家が種をめぐる現状について報告と討論を行いました。
在来種を専門に扱う種屋さん、野口勲さん(埼玉県飯能市)は「種が危ない」のテーマで報告。「一粒万倍」という言葉があるように、本来は、一つの種から数多くの種ができるはずなのに、1965年頃を境に日本中の野菜の種が自家採種できず、毎年種苗会社から買うしかないF1という一代限りの種子になってしまったことを紹介しました。
在来種、固定種などの違いに触れながら、その土地に根を張り、適応して味もよくなる在来種による自家採種の必要性を強調しました。
日本語詩人のアーサー・ビナードさんは、「種の種明かし」と題して講演。アメリカ大統領選挙で、遺伝子組み換え技術に、クリントン候補(民主党)が推進、トランプ候補(共和党)が反対であることを述べ、アメリカ国内でも食の安全に対する消費者の意識が変わってきている点を指摘しました。
さらに、アメリカでは食品表示を求める運動や子どもの健康を守る取り組みも前進し、「母親が社会を変える原動力になっている」と強調。「日本でも食の安全を守る運動を加速させて、TPPを破たんさせよう」と呼びかけました。
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの天笠啓祐さんは、「TPPと食の安全」について報告。TPPによる食の安全への悪影響として、(1)遺伝子組み換え作物に関わる農産物市場アクセス(2)食の安全に関わるSPS(植物検疫)(3)食品表示に関わるTBT(貿易の技術的障害)(4)種子独占に関わる知的所有権――の分野について説明しました。
また、輸入食品の増加や通関手続きの簡略化(48時間以内)による食の安全への不安などの問題点をあげました。
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討論する(右から)野口、ビナード、天笠の各氏 |
パネルディスカッションでは、3氏が参加者の質問に答えながら、種を私たちの手に取り戻すためには何が必要かを話し合いました。
(新聞「農民」2016.5.30付)
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