「農民」記事データベース20160530-1215-01

いわて食・農ネット

岩手7農協すべてを訪問

「TPP批准阻止」で懇談
全組合長が署名に賛同


TPPへの不安・安倍政治への憤り
生産現場でますます強く

 今国会でTPP協定の批准を断念させたことは、市民運動の大きな成果です。同時に、政府・与党は、参院選後の臨時国会での批准をねらっています。

 参議院選挙を前に、農村ではTPPに対して、不安の声が広がっています。日本農業新聞が3月末に行った調査では、農政モニターの9割がTPPに「不安」と答えており、同紙が1月に公表した調査では、全国のJA組合長の96%が「悪影響あり」、92%が「国会決議違反」と答えています。いわて食・農ネット(全国食健連加盟)は、県内7農協すべてを訪問し、「TPP協定を批准しないことを求める国会請願」への署名を呼びかけ、すべての農協組合長から団体署名が寄せられました。岩手の取り組みをリポートします。

 事務局団体の県農協中央会は

 岩手県内では、TPPに反対する共同の組織として「TPP等と食料・農林水産業・地域経済を考える岩手県民会議」が2010年に結成されています。52団体が参加し、集会や宣伝などに取り組んできました。しかし昨年のTPP「大筋合意」以降、事務局団体の岩手県農協中央会は、JA全中の影響もあり、「批准阻止という立場では運動が難しくなった。『県民会議』として、従来のような大がかりな運動は取り組みづらい」という態度でした。

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いわて平泉農協で佐藤鉱一組合長(中央)と懇談=4月5日

 一方で、生産現場ではTPPに対する怒りの声はますます強まっています。このことから、いわて食・農ネットは、4月4日〜7日に県内7農協すべてを訪問し、「TPP協定を批准しないことを求める国会請願」への署名を呼びかけました。

 その結果、すべての農協組合長から団体署名が寄せられ、職員からの個人署名も寄せられています。懇談では、それぞれの組合長からは「特A地区でブランド米の産地だが、輸出でなんとかなるというものではない」「畜産・酪農もたいへんな影響を受ける」と、TPPに対する強い怒りの声が寄せられました。批准反対の取り組みについても「系統組織あげて、しっかりした態度を示していかないと」という声も。そして、「与党の暴走はひどい。政治が変わらないと」と、安倍政権に対する憤りも出されました。

地域での署名活動など
強力な運動の展開を

 TPP請願署名県議会に提出

 この取り組みに先だって、いわて食・農ネット、岩手県消費者団体連絡協議会、岩手県生活協同組合連合会、いわて生協の4団体は3月県議会に「TPP協定を批准しないことを求める請願」を提出。会期中の委員会では「継続審議」になっていましたが、4月13日に、閉会中の総務常任委員会で審議されました。生活の党系の議員が「黒塗り資料では国会論議ができない。基幹産業の農業が打撃を受けるTPPは批准すべきでない」と、請願採択を求めて発言しました。保守系の議員が反対し、「継続審議」となりました。

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4カ所で「TPPを批准させない全県いっせいアクション」=4月16日、盛岡市

 毎月の宣伝署名草の根で強力に

 いわて食・農ネットは、盛岡市内での宣伝署名行動を毎月行っています。しかし、TPP批准の国会論議が始まったことを受け、より草の根で地域から声を上げていくことが重要だという論議になりました。そこで、4月16日に県内4カ所で「TPPを批准させない! いっせいアクション」を行いました。荻原武雄会長はじめ農民連・農協労組・新婦人・岩手農民大学・いわて生協・生協労組・消団連から37人が参加。TPP協定を分析したリーフレットを配布しながら「TPP協定の国会批准をやめさせましょう」と呼びかけました。4会場で210人が署名に応じました。

 市民からは「岩手の農業生産が減らされるのはだめだ」「原発事故やTPP・戦争法など、食べるものがなくなったらどうなるのか、とても不安だ」などTPPへの不安や、「安倍首相のやり方は強引すぎる。TPPや戦争へ傾き、福祉もつぶしている」「甘利(前大臣)はひどい。まったく無責任だ」「今の自民党には政治をまかせていられない」など安倍政権への怒りの声も寄せられました。

(岩手県農民連 岡田現三)

(新聞「農民」2016.5.30付)
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2016年5月

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