災対連国会行動生活再建支援の引き上げを
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関連/避難指示解除は住民合意で /来年も農業できる支援を |
東日本大震災から5年、被災者本位の復興・復旧を求めて、全国災対連(災害被災者支援と災害対策改善を求める全国連絡会)は5月11日、「熊本地震の被災者救援 被災者切り捨て許すな! 国の責任で復興を――5・11国会行動」に取り組みました。東日本大震災の被災地3県をはじめ、熊本県、茨城・常総の被災者など150人が参加。昼の国会前での集会に続いて、岩手・宮城などと、福島に分かれて各省庁との交渉に臨み、約5万筆に及ぶ署名を国会議員に手渡しました。
岩手、宮城、福島、熊本の震災被災地各県と茨城県常総市の豪雨水害被災者が、内閣府、復興庁、国土交通省、厚生労働省に対して要請を行いました。
要請項目のうち被災者生活再建支援金の上限額を500万円に引き上げ、半壊世帯にまで対象を拡大すること―に対し、内閣府は(1)住宅再建は保険や共済の自助、共助によって行うべき、(2)特に被害が大きい方への見舞金として給付、(3)財政状況もあり増額は慎重に検討しなければならない、と回答しました。
この回答に対し怒りの声が噴出。「阪神大震災後の、制度創設時には住宅再建に、ということだった。いつ変わったのか」、「国民の生命と財産を守るのが国の責務ではないか」「自助、共助などは給付を抑制する方便にすぎない」といった声があがりました。財政問題でも「増額してもらえれば自力で再建できるという人がたくさんいる。復興公営住宅を建設するよりも財政負担が少なくて済むのになぜやらないのか」と反論し、内閣府は「継続して検討する」としか返答できませんでした。
他の省庁に対しても切実な要望が続出。宮城県東松島市の農民連会員、大友昭子さんは厚生労働省に対し「月4万円の年金生活者の知り合いがいる。家賃や介護保険料を払ったら病院にもかかれない」と訴え、「生活再建支援金の増額実現と、医療費の窓口負担の免除を何としても継続してほしい」と訴えました。
実態を切々と訴える大友昭子さん |
福島復興共同センターが中心になった交渉では、(1)川内原発の即時停止と福島第二原発の全基廃炉、(2)仮設住宅の延長、(3)避難指示解除の3要件の一つ「住民との十分な協議」を、「住民との合意」に改めること、(4)営業損害は被害がなくなるまで賠償すること、などを要請しました。
福島第二原発の廃炉について、「県内すべての原発の廃炉が福島県民の総意だ」との参加者の声に、経産省は「福島県民の心情を考えると他の原発と同列に扱うのは難しい」と回答。しかしその具体的な内容を問われると、「第二原発は東電の所有物であり、国として東電に稼働するなと指導や示唆をするのは難しい」として、結局、廃炉の決断は東電の経営判断との考えを示しました。参加者は重ねて、「本当に福島県民の心情を考えるなら“廃炉にすべきだ”という姿勢を国として明確にするべきだ」と、訴えました。
また参加者から強く上がったのが、「避難指示解除にあたっては“まず解除ありき”ではなく、住民一人ひとりの要望と真剣に向き合い、住民合意のもとで進めるべきだ」との要求でした。国が解除の条件としている「年間被ばく線量20ミリシーベルト(一般は1ミリシーベルト)」に対しても、「いつ福島県民は20倍放射能に強くなったのか。国は“故郷に帰りたい”という避難者の気持ちを口実にして、本当はまだ危険な場所に、ただ強引に返そうとしている」との、強い怒りの声があがりました。
笹渡さんは「憲法にもとづいて希望を持って立ち直れるようにすることが求められている。今度の参議院選挙は被災者対策を大きく前進させるたたかいにしよう」と参加者に呼びかけました。
東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の各県と昨年の水害で被災した、茨城県常総市から代表が発言し、現状を訴えました。
大震災に見舞われた熊本県からは、熊本県農民連の笹渕賢吾会長が参加。「毎日余震が続いている。家屋の倒壊や地面等のひび割れ、用水路の破壊などの被害が出ている。今年の作付けの見通しがたたない。来年も農業を続けるために、特別な対策を」と発言。「未来の農業・食糧のためにもみなさんの支援を受けながら全力でがんばっていきたい」と決意を表明しました。
[2016年5月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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